北海道は冬でも原子力は不要、企業の自家発電で供給が増えるエネルギー管理

冬に電力の需要が増大する北海道だが、今年もピーク時に不足するような事態は生じないだろう。北海道電力は前年の実績を上回る最大電力を想定しているが、同時に企業の自家発電からの供給も増える。予備率は最低でも安全圏の6.9%で収まる見込みだ。

» 2013年10月07日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北海道電力が予測した今冬の最大電力は前年と同じ563万kWである(図1)。ただし前年の最大電力は実際には552万kWと予測よりも2%少なかった。今年の予測値では節電効果を前年の30万kWから24万kWに減らしたほか、景気回復による増加を8万kW加えてあり、十分な余裕を持たせている。

図1 今冬の需要と供給力の見通し。出典:北海道電力

 一方で供給力は前年よりも増える。水力と揚水による発電が減る2月でも、前年と比べて6万kW多い602万kWを確保できる見込みだ。火力が12万kWも増えるためで、自家発電設備を保有する企業などから39万kWを調達できる効果が大きい。

 供給力の増加によって、最も厳しい2月でも予備率は6.9%で収まる。さらに節電効果を前年と同程度に見込めば、最大電力が6万kW少なくなり、予備率は8.1%まで上昇する。しかも供給力の予測には他の電力会社からの融通は織り込んでいない。火力発電所などのトラブルが発生して一時的に供給力がダウンしても、融通で十分にカバーできるだろう。

 前年の冬は厳しい寒さが続いたものの、「2010年度比で7%以上の節電」を目標に設定した結果、最大電力は大幅に減少した。2010年度の冬をピークに、過去2年間は当日の気温が下がっているにもかかわらず最大電力は減ってきた(図2)。

図2 過去の最大電力と当日の平均気温。出典:北海道電力

 電力需要がピークになる19時台を想定した節電対策が浸透してきたことに加えて、ガスや再生可能エネルギーによる自家発電の増加が貢献していることは明らかである。北海道電力が9月から電気料金を値上げしたこともあり、よりいっそう企業や家庭が節電と自家発電を進めていくことが予想される。今冬の最大電力が前年の実績を下回る可能性は大きく、その傾向は今後も続いていくだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.