電力会社10社の中で東京と関西に次ぐ3番目の販売量を誇る中部電力が、2014年4月から電気料金を値上げする。企業向けの値上げ率は15%前後になる。特に小規模な店舗・工場を対象にした「低圧電力」の単価は東京を抜いて全国で最高額になる見通しだ。
これまで中部電力は周辺地域よりも安い電気料金を維持してきたが、ついに来年4月から値上げに踏み切る。国に申請した新料金は消費税率を8%で設定していて、その分を割り引いても電力1kWhあたり平均で4円程度の値上げになる(図1)。
毎月変動する燃料費調整単価を含めた実質的な値上げ率を計算すると、企業向けは15%前後、家庭向けは5〜10%程度になる見込みだ。国が認可する時点では値上げ幅を縮小する可能性が大きいものの、周辺地域を上回って全国でも最高の水準まで上昇することは確実である。
一般のオフィスビルが利用する「高圧」の標準的なメニューで比較してみると、値上げ後の電力量料金の単価が関西電力よりも高くなる。それでも東京電力と比べると1円前後は安く、今後の地域間の料金格差が微妙な状態に入る(図2)。高圧は利用者ごとの料金を自由に決められるため、新電力を加えて値引き競争が激しくなりそうだ。
小規模な店舗・工場を対象にした「低圧電力」では、東京電力を抜いて全国で最も高い単価になる可能性がある(図3)。低圧電力は家庭向けの電気料金とともに国の認可を必要とするため、実際には少し引き下げられる見通しだが、周辺の北陸や関西の単価を大幅に上回ることは確実だ。
電気料金の値上げは国に申請してから認可されるまでに標準で4カ月かかる。中部電力の新料金が確定するのは年明けの2月になるとみられる。その間の審査によって人件費や燃料費などの原価を厳しく査定して、値上げ幅を縮小するのが通例だ。
最近では東京電力をはじめ6つの電力会社が認可を受けたが、申請した値上げ幅よりも1〜2割程度は低く抑えられた。全体の原価を見直す結果、認可が不要な企業向けの値上げ幅も同様に縮小することになる。
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