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» 2013年11月28日 13時00分 UPDATE

電力供給サービス:加速するスマートメーター導入計画、東京や中部で2014年に情報提供サービスを開始

東京電力に続いて中部電力がスマートメーターの導入計画を2年以上も前倒しする。先行する関西電力を追うように各社が設置を急いでいる。2016年から始まる小売の全面自由化に向けて、スマートメーターを活用した情報提供サービスで顧客の囲い込みを図る狙いだ

[石田雅也,スマートジャパン]

 中部電力は約900万件にのぼる全顧客に対して、スマートメーターの設置を2023年3月までに完了させることを決定した。従来は2025年6月としていた計画を2年3カ月も前倒しする。スマートメーターを活用して、時間帯ごとの使用量を見える化するサービスや使用量に応じた多様な料金メニューを早期に導入していく方針だ。

 先ごろ東京電力も当初の計画から3年早めて、2020年度までに2700万の顧客にスマートメーターの設置を完了すると発表した。それと並行してスマートメーターで計測した情報を顧客に提供するサービスも2014年から順次開始する計画である。

 スマートメーターは電力の利用者ごとに使用量を計測して、30分単位の集計データを提供する機能などを備えている。BEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)にデータを送信するほか、電力会社のネットワークを経由して小売事業者やサービス事業者にもデータを供給することが可能だ(図1)。

smartmeter0_enecho_sj.jpg 図1 スマートメーターの情報提供ルート(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 スマートメーターから情報を提供するルートは3種類ある。「Aルート」は電力会社向け、「Bルート」は利用者向け、「Cルート」は小売事業者やサービス事業者向けに利用する。それぞれ提供する情報の内容や提供までの所要時間に違いがある(図2)。

 スマートメーターと直接つながるBEMS/HEMSにはBルートでリアルタイムに情報を提供できるため、常に最新の電力使用量をグラフで見える化することができる。時間帯別や使用量別の料金メニューを適用すれば、利用者が状況を見ながら使用量を抑えて電気料金を安くすることも可能になる。

smartmeter1_enecho_sj.jpg 図2 3つのルートで提供する情報。出典:資源エネルギー庁

 こうした新しいサービスや料金メニューをいち早く導入することで、電力会社は小売全面自由化後の競争市場でも顧客を維持していく狙いだ。一方でAルートの情報を使って毎月の検針業務を自動化して、コスト削減にもつなげる。

 すでに関西電力は企業を中心に約200万台のスマートメーターを設置済みで、AルートとBルートの双方で情報提供を実施している(図3)。続いて東京電力と中部電力がBルートで2014年から、Aルートで2015年から、それぞれ対応を開始する。Bルートに関しては10電力会社すべてが2016年4月までに、スマートメーターを設置した企業や家庭を対象に情報提供サービスを開始する計画だ。

smartmeter4_enecho_sj.jpg 図3 電力会社による情報提供開始時期。出典:資源エネルギー庁

 ここで問題になるのはCルートである。現時点では情報提供の方法や時期が未定で、早急に決定しないと電力会社だけがスマートメーターの情報を利用できる状況になってしまう。政府の案では、2015年から全国レベルの需給調整を担当する「広域的運営推進機関」に情報を集約して、各事業者に提供する方法が有力である。公平な競争のためには、小売の全面自由化よりも前に情報提供体制を整備することが求められる。

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