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» 2014年01月16日 13時00分 UPDATE

法制度・規制:建設費が想定を上回る小水力発電、それでも買取価格は据え置き

農業用水路などを活用した小水力発電に注目が集まっている。ところが発電設備を導入できる場所は数多くあるものの、実施に至るケースは少ない。発電設備の建設費に対して買取価格が低めに設定されていることが大きな要因だ。ただし政府は2014年度も買取価格を据え置く見込みである。

[石田雅也,スマートジャパン]

 再生可能エネルギーによる発電設備の導入状況を見ると、小水力発電の少なさは一目瞭然だ(図1)。固定価格買取制度の開始後に導入された設備の容量は0.5万kWしかなく、長期の開発期間を必要とする地熱に次いで少ない。導入件数も全国で27件にとどまっている。

kaitori_2013oct_sj.jpg 図1 再生可能エネルギーによる発電設備の導入状況(2013年10月末時点)。出典:資源エネルギー庁

 小水力発電は太陽光発電の次に導入しやすく、農業用水路をはじめとして対象になる場所も数多くある。ところが資源エネルギー庁が2012年度の導入量として想定していた規模は3万kWだったのに対して、その10分の1にも達していないのが現状だ。

 問題点の1つは採算性の低さにある。小水力発電は他の再生可能エネルギーに比べて出力が小さく、発電量も少ない。それを前提に買取価格が決められているものの、建設費が想定を上回る水準になっているために、現状の売電収入では投資を回収しにくくなっている。

 資源エネルギー庁が発電事業者を対象に調査したところ、建設に必要な資本費が想定の3倍以上になっているケースが半数以上を占めていて、中には10倍を超えるものまであった。規模の小さい出力200kW未満の設備では、資本費の平均は1kWあたり354万円で、買取価格の前提になっている100万円を大きく上回っている(図2)。

suiryoku2_enecho_sj.jpg 図2 小水力発電設備(出力200kW未満)の建設費。出典:資源エネルギー庁

 調査の対象になった22件の設備のうち14件は公共機関、8件は民間事業者である。民間事業者だけの平均をとると135万円になるが、それでも想定値より3割以上も高い。一方で導入後に必要な運転維持費は想定値の2分の1程度で収まっている。とはいえ初期の建設費が高くては、投資回収までに長い期間が必要になってしまう。

 より規模の大きい出力200kW〜1000kW未満の設備でも、状況はさほど変わらない。調査対象の設備は7件しかないが、資本費の平均値は1kWあたり132万円になり、買取価格の前提である80万円の1.65倍である(図3)。運転維持費は想定の4割程度に収まっていて、200kW未満の場合と同じような収支構造になっている。

suiryoku3_enecho_sj.jpg 図3 小水力発電設備(出力200kW〜1000kW未満)の建設費。出典:資源エネルギー庁

 こうした状況にもかかわらず、政府は2014年度の買取価格を従来のまま据え置く方針だ。まだ運転を開始した設備が少ないために、建設費や運転維持費のデータを十分に得られていないことに加えて、導入に向けた開発件数が徐々に増えてきたことを理由に挙げている。

 しかし太陽光発電に偏重している現状を是正するためには、小水力発電に対しても魅力のある買取価格を設定する必要がある。今のところ自治体による導入事例が多いのも、民間事業者から見て利益を見込みにくいことが影響している。再生可能エネルギーを重要な電源に位置づけるのであれば、出力が安定している小水力、地熱、バイオマスの買取価格は高めに設定すべきである。

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