国内最大級のリチウム蓄電池、コンテナ型で容量2.8MWh蓄電・発電機器(1/2 ページ)

大型コンテナに収納した大容量大出力のリチウムイオン蓄電池システム。輸送と設置が容易であり、顧客のニーズに応えやすい。IHIは2014年度から国内市場に向けてコンテナ型の販売を開始する。これに先駆け、2014年1月には同社の相馬事業所にコンテナ型システムを設置。工場のピーク電力抑制に利用する。

» 2014年01月31日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 福島県相馬市とシステムの設置位置

 IHIは、コンテナに内蔵したリチウムイオン蓄電池システムを2014年度から国内市場向けに販売する。これに先駆け、2014年1月には同社の相馬事業所(福島県相馬市、図1)にシステムを1台設置、2014年4月から利用を開始する(図2)。

 システムの容量は2800kWhと大きい。同社によれば国内最大だという。最大出力は1000kW。定置用途であるため、システムの寿命も長い。「10年後の容量は初期容量比で88%を維持できる」(IHI)。

 今回のシステムを「コンテナ型リチウムイオン蓄電システム(SESS:Smart Energy Storage System)」と呼ぶ。コンテナ型のメリットは、完結した蓄電システムをどこにでも輸送して設置できることだ。大容量大出力の蓄電システムが必要な顧客に対し、比較的短時間で設備を納入できる。なお、相馬事業所のシステムでは蓄電池が出力する直流電流を交流に変換する設備はコンテナ外に設けている。

図2 コンテナ型リチウムイオン蓄電システム 出典:IHI

ピーク電力を抑制できる

 相馬事業所にはIHIの航空宇宙事業本部に属する4つの工場のうち2つが集まっている。航空エンジンや宇宙機器を製造する工場だ。ピーク電力需要を緩和するために蓄電池システムを利用する。日中は太陽光発電システムから電力を得、夜間は比較的安価な夜間電力を蓄える。これをピーク需要時に利用する形だ。

 利用する太陽光発電システムは、2013年3月に相馬事業所内に導入した出力1MWの設備。再生可能エネルギーの出力平準化や時間帯ごとの平準化に向くという特徴を生かす。相馬事業所では停電や瞬停などの非常用途は考えていないという。

 コンテナ型リチウムイオン蓄電システムでは、規格化されたコンテナの中でも最も大きな53フィートコンテナを利用する。コンテナの寸法は長さ16.2m×幅2.6m×高さ2.9m。コンテナ内部はラック構成になっており、複数枚のセルをまとめたモジュール(トレイ)単位で容量を変更でき、モジュールの直列・並列接続を変えることで顧客の要望に応じて出力を変更可能だ。

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