世界最大出力の風力発電機、デンマーク社が三菱重工と8MW機で攻勢自然エネルギー(1/2 ページ)

洋上風力発電に注力しているデンマークVestas Wind Systemsが出力8MWの新型機の試運転に成功した。同社は三菱重工業と合弁会社を設立、新型機に三菱重工業のドライブトレインを組み合わせ低コストで大出力の製品とする。

» 2014年02月06日 13時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 世界で最も出力の高い風力発電用風車が立ち上がった(図1)。

 風力発電に特化したデンマーク*1)の企業Vestas Wind Systems(以下、Vestas)は2014年1月、出力8MWの新型機「V164-8.0MW」の試運転に成功し、動作するタービンとしては世界最大出力になったと発表した。三菱重工業と協力して洋上風力発電で勝ち残るための武器とする。顧客からの注文があり次第、2015年から連続生産を開始する予定だ。

 風力発電では出力の小さな風車を多数配置するよりも、出力の大きな風車を少数配置した方が運用管理コストを低くできると考えられている。洋上風力発電ではタワーの設置本数を減らすことが導入コストに効く。高さ数十mのタワーに上り下りする手間を考えると、人員を派遣する場合は設備の数が少ない方が有利だ。

 V164-8.0MWのタワー長(風車を取り付けるタワーの高さ)は140m。ローター(羽根)の先端までの高さは220m。ローターの直径は約160mである。受風面積は2万1000m2と巨大であり、これは平均的なサッカー競技場3つ分に相当するという。

*1) デンマークは国全体が1年間に発電する全電力の33.7%を風力発電から得ている。2012年時点の比率としては世界一だ。なお、1995年時点では3%であり、急速に風力発電を導入していることになる。

図1 テストセンターに設置した「V164-8.0MW」 出典:デンマークVestas Wind Systems

 VestasのCTOであるAnders Vedel氏は発表資料の中で次のように述べている。「当社はV164-8.0MWを計画通りに製造し、テストと配置が終わった段階だ。現在、風力発電設備に対する投資を縮小しており、固定費を低減中だ。そうした中で集中的な努力が実った形である。現在はタービンの性能をオンサイトで評価しているところだ」。ユトランド半島北東部Østerildにある大規模風力タービンのためのデンマーク国立テストセンターにおいて、今後数カ月間評価を続けるとした。

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