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» 2014年02月19日 13時00分 UPDATE

電力供給サービス:先行きが見えない北海道電力の経営、再値上げでも利益は出ない (1/2)

電気料金を値上げしたばかりの北海道電力が早くも再値上げの検討に入った。燃料費の増加を理由に挙げているが、再値上げを実施しても利益が出る可能性は小さい。効率の悪い石油火力と維持コストが高い原子力に依存している限り、競争力を発揮できる事業体に転換することは難しい。

[石田雅也,スマートジャパン]

 北海道電力が2月17日に公表した経営状況に関する資料には、電気料金の再値上げが必要な理由として、次のような文章が堂々と書かれている。

 「新規制基準に関する適合性審査が始まって約半年過ぎましたが、その間、当社としても真摯に対応してまいりました。しかしながら、その過程で、多くの質問やコメントが出されるとともに、格納容器スプレイ配管も一つの例ですが、追加の対策工事なども発生しており、現時点においても泊発電所の発電再開を見通すことができません。」

 電気料金を再値上げしなくてはならないのは、自分たちのせいではない、早く原子力発電所を再稼働させない国の責任だ、と言っているかのようである。しかし、現状で北海道電力が利益を上げられない理由はほかにある。

 長年にわたって国の保護と総括原価方式による甘い経営を続けてきた結果、競争力に乏しい事業体になっていることが最大の問題だ。同様のことは他の電力会社にも当てはまる。

燃料費は前年よりも減っている

 北海道電力の収支が構造的な問題で成り立たなくなっている状況は、1月31日に発表した第3四半期決算(2013年4−12月)の内容を見れば明らかである。2013年9月から電気料金を値上げしたにもかかわらず、売上はさほど増えていない(図1)。

 値上げ分が9〜12月の4カ月しか反映されていないとはいえ、販売電力量の減少と相殺する形になっている。北海道の企業や家庭は懸命な節電対策を続けていて、今後さらに販売電力量が減っていくことは確実である。再値上げを実施すれば、いっそうの節電に拍車がかかり、北海道電力の売上は増えていかない。

hokuden_revenue_sj.jpg 図1 北海道電力の2013年4−12月の売上高。出典:北海道電力

 一方でコストを見ると、燃料費は前年と比べて1割以上も少なくなっている(図2)。コストの安い石炭火力を増やした効果によるものだ。実際に費用が増加しているのは「その他費用」で、「原子力損害賠償支援機構一般負担金」と「再エネ特措法納付金」の2つが大きい。

hokuden_cost_sj.jpg 図2 北海道電力の2013年4−12月の費用と利益。出典:北海道電力

 このうち「再エネ特措法納付金」は固定価格買取制度によって電力会社が利用者から徴収した賦課金を国に納めたものである。全国の電力会社が集めた賦課金は国が調整したうえで、電力会社に「再エネ特措法交付金」として再配分する。北海道電力は買取量が多いために、納付金よりも交付金のほうが多くなり、売上と利益の増加要因になっている。

 交付金は買取にかかった費用で、「購入電力料」に含まれている。前年から80億円も増えたが、それでも燃料費と購入電力料の合計額は前年よりも少なくて済んでいる。火力+再エネのコストは減っているのが実際のところで、むしろコストの増加をもたらしているのは原子力関連の費用である。

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