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» 2014年02月25日 15時00分 UPDATE

スマートシティ:下水でバイナリー発電、汚泥処理の電力を70%削減

全国各地の下水処理場が新たなバイオマスエネルギーとして汚泥の活用に取り組むなか、大阪府の池田市で最先端のシステムが運転を開始した。汚泥の処理で発生する2種類の廃熱を利用して、温度差で発電する。このシステムを使うと電力会社から購入する電力を70%削減できる見込みだ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 温度差を利用した発電設備は地熱や海水を使う方法など、地域の特性に合う形で全国に広がり始めている。大阪府の池田市にある下水処理場では、毎日大量に発生する汚泥の処理に温度差発電を導入した(図1)。汚泥の脱水から燃焼、発電までを一貫処理して、電力の購入量を70%も削減できる点が特徴だ。

ikeda1_sj.jpg 図1 池田市下水処理場に導入した「下水汚泥エネルギー転換システム」の設備構成。出典:池田市、メタウォーター、国土交通省

 池田市は人口10万人の郊外型の都市で、下水処理場では1日あたり5万立方メートルの下水を処理している。処理工程で発生する汚泥は脱水した状態で1日25トンにのぼる。この大量の汚泥を効率よく処理しながら、再生可能エネルギーとして発電に利用する試みである。

 国土交通省が推進する「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」の1つとして実施するもので、「脱水・燃焼・発電を全体最適化した革新的下水汚泥エネルギー転換システム」と名づけられた。消費電力を抑えた遠心脱水機や、少ない空気で高効率の燃焼が可能な設備を備えている(図2)。

ikeda2_sj.jpg 図2 下水汚泥エネルギー転換システムの処理の流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:池田市、メタウォーター、国土交通省

 発電には2種類の廃熱を利用する。燃焼炉で発生する高温の熱のほかに、排煙を処理する過程で生じる低温の熱がある。地熱を使った発電設備で一般的な「バイナリー発電」の仕組みを適用して、沸点の低いアンモニアなどを蒸発させてタービンを回転させて発電する。発電後の蒸気を低温の熱で液体に戻せば、再び高温の熱で蒸発させることができ、循環型のプロセスで連続した発電が可能になる。

 このシステムを導入したことで、汚泥処理のために電力会社から購入する電力が70%程度削減できる見込みだ。従来は汚泥の脱水と焼却のために1時間あたり540kWhの電力を使っていた(図3)。新システムでは設備全体の電力使用量が1時間あたり400kWhで済むことに加えて、250kWhの電力を作り出すことができる。差し引き150kWhの電力を購入すれば汚泥処理を完了する。

ikeda3_sj.jpg 図3 新システムによる導入効果(画像をクリックすると拡大)。出典:池田市、メタウォーター、国土交通省

 一般に下水の汚泥処理は1日24時間で年間365日の連続運転を実施する。新システムで1時間あたりの電力購入量を540kWhから150kWhに減らすことができると、年間に340万kWhの削減になる。1kWhの電気料金を10円と仮定して、年間に3400万円の電気料金を削減する効果がある。池田市のシステムは2014年2月中旬に運転を開始した。今後の実証結果が注目される。

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