太陽光発電と電力融通で年間1000万円を削減、平日はオフィス、休日は商業施設へスマートシティ(1/2 ページ)

千葉県の柏市で開発が進む「柏の葉スマートシティ」で7月から新しい試みが始まる。オフィスビルと商業施設の屋根に設置した太陽光発電システムを活用して、平日と休日の昼間に電力を融通し合う計画だ。電力需要のピークを26%カットして、年間に1000万円のコスト削減効果を見込む。

» 2014年04月28日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 太陽光発電を活用した電力融通の仕組みを導入するのは、商業施設の「ららぽーと柏の葉」とオフィスビルの「ゲートスクエア」の2カ所である(図1)。すでに2つのビルには500kWと220kWの太陽光発電システムを設置したほか、電力を安定して供給できるように大型の蓄電池も併設する。

図1 「柏の葉スマートシティ」で実施する電力融通。出典:三井不動産

 この2つのビルがある「柏の葉スマートシティ」は、三井不動産が2000年から2023年までかけて開発する日本で初めての大規模なスマートシティである。2万6000人が住める街を造り、オフィスビルや商業施設、学校や病院も地域内に建設する。地域の中心になる「柏の葉キャンパス駅」の周辺から、先進的な電力供給システムを導入していく計画だ。

 7月から電力融通を開始する2つのビルのあいだは自営の送電線と電力融通装置でつなぎ、電力会社とは別系統で送電できるシステムを構築する(図2)。ビル内の電力使用量や発電・蓄電量をBEMS(ビルエネルギー管理システム)で把握しながら、地域全体を管理するAEMS(地域エネルギー管理システム)で電力供給計画を策定してビル間の融通量を決める。

図2 電力融通を実現する仕組み。出典:三井不動産

 オフィスビルでは平日の電力需要が大きくなり、休日には減少する。商業施設は逆のパターンになるため、昼間の太陽光発電の電力を融通し合えば使用量のピークを抑えられる。2つのビルの最大電力を約26%減らせる見込みだ。電力会社から供給を受ける契約電力を引き下げて電気料金を安くする。三井不動産は年間に1000万円程度のコスト削減効果を期待している。

 オフィスのほかに賃貸住宅が入るゲートスクエアには、太陽光発電を上回る2000kWのガス発電機も導入する。災害などによって電力会社からの供給が止まっても、周辺の住宅を含めて電力を融通することができる(図3)。非常時の供給先はエレベータや集会場などの共用設備に限定して、地域全体の電力を確保する方針だ。

図3 非常時に実施する電力融通。出典:三井不動産
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