ニュース
» 2014年06月25日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:水の隠れた流れを探せ、大雪山に発する2本の川で発電

北海道電力は水力発電所に水を引くために使われてきた導水管を再利用し、新たに出力690kWのユコマンベツ発電所を立ち上げた。投資効率が高く、安定した発電が可能だ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 水力発電の可能性は大きい。大規模なダムが必要なものばかりではない。農業用水路などに流れる水があれば発電が可能だ。このような小規模な水力発電を「小水力発電」と呼ぶ。個人や小規模な企業が導入することも可能だ。流れ下る水を使うため、水量が多ければ多いほど、落差が大きければ大きいほど発電量は増える。

 規模の小さな水力資源は各地に残されている。電力会社が管理、運営する施設の中にも利用されていない水力資源があるのだ。

 北海道電力は2014年6月、「ユコマンベツ発電所」(北海道東川町)の営業運転を開始したと発表した(図1)。未利用河川水を使った流れ込み式・水路式の中小水力発電所だ。認可出力は690kW、年間発電電力量は約420万kWhであり、これは一般家庭1400軒分に相当するという。

yh20140625Yukomanbetsu_building_390px.jpg 図1 ユコマンベツ発電所の全景 出典:北海道電力

 ユコマンベツ発電所が取り入れる未利用河川水の源は、北海道の中央にそびえる大雪山だ。大雪山から西に流れ下る2本の川を利用する。湧駒別(ゆこまんべつ)川とピウケナイ川だ(図2)*1)。2つの川には高低差があり、ピウケナイ川の方が低い位置を流れている。ピウケナイ川にはピウケナイ取水堰(せき)があり、下流の江卸(えおろし)発電所に水を送っている。高い位置を流れる湧駒別川の水を間接的に江卸発電所に送るために、湧駒別川からピウケナイ川に向かう「導水路」が長年利用されてきた。

*1) どちらも忠別川の支流であり、忠別川は旭川市で石狩川に流れ込む。

yh20140625Yukomanbetsu_map_570px.jpg 図2 ユコマンベツ発電所と周囲の河川の流れ 出典:北海道電力

導水路を流れる水から電力を引き出す

 この導水路を流れる水が未利用河川水そのものだ。水量はもちろん高低差もある。そこで、2012年5月に既存の導水路を一部利用するユコマンベツ発電所と付帯設備の建設が始まった。

 導水路の上流側はそのまま再利用した。途中に水槽を設け、長さ約96mの水圧管路を新設した。水量が多くなりすぎたときに水を逃がす余水路は既存の導水路そのものだ。水圧管路の水は余水路と放水路に分かれ、放水路に流れた水がユコマンベツ発電所で発電に使われる(図3)。

 最大使用水量は1秒間に1.30m3、有効落差は66.10mあり、この水が発電所内に据え付けた1台の横軸フランシス水車を回し、三相交流同期発電機によって電力を生み出す。

yh20140625Yukomanbetsu_birdview_570px.jpg 図3 ユコマンベツ発電所と付帯設備の実際 出典:北海道電力

 ユコマンベツ発電所は効率のよい発電所だ*2)。「設備利用率は約70%である」(北海道電力)。「今回の総事業費は約7億円であり、法定耐用年数である40年間、利用する。その後も保守や維持管理によって発電の継続が可能だと考えている」(同社)。

*2) ユコマンベツ発電所と同じ年間発電量を太陽光発電システムで得ようとすると、出力4MWの設備が必要だ。6万m2の土地の他、部材費と工事費を合わせて事業費は10億円程度に上がる。さらに大規模な太陽光発電システムは40年間の発電が実証されていない。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.