電力の購入先変更を検討する家庭は54%、料金の安さが最大の選択理由動き出す電力システム改革(10)

資源エネルギー庁が全国1500人を対象に実施したアンケート調査の結果、電力の小売自由化で購入先の変更を検討する、との回答が過半数の54%に達した。消極的な回答者の多くは自由化後の状況を想像しにくい点を理由に挙げる。実際に電気料金が安くなれば購入先を変える家庭は増えそうだ。

» 2014年06月30日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

第9回:「20兆円の電力市場が2016年に全面開放、全国8000万超の顧客獲得競争が始まる」

 アンケート調査の結果を見る限り、電力の小売自由化に対する国民の反応はポジティブ(前向き)なものと考えられる。電力の購入先の変更を検討するか、との質問に対して「検討したい」が22.7%、「やや検討したい」が31.7%で、合わせて54.4%の回答者が電力会社からの切り替えに前向きな意向を示している(図1)。

図1 電力の購入先を切り替える意向。出典:資源エネルギー庁

 それ以外の回答者が積極的に検討できない理由では、「どういった会社を選んでよいかわからない」「今は想像ができず考えられない」といった点が挙げられた(図2)。調査を実施した資源エネルギー庁は具体的な切り替えのイメージを伝えて、手続きの簡素化を図れば、選択意欲の向上が期待できると分析した。

図2 切り替えを検討しない理由。出典:資源エネルギー庁

 自由化によって電力の購入先を選択できるようになった場合に、最も重視するのは「料金の安さ」である。回答者の49%が最大の要因に挙げている(図3)。ただし料金が安くなるとしても、「料金メニューや手続きがわかりにくい」「顧客対応などのサービス品質が悪い」といった問題があると、購入先に選択しない人が多くなる。

図3 電力の購入先を選択する場合に重視する点。出典:資源エネルギー庁

 地域によっても意向の度合いは著しく違う。毎月の電気料金がどのくらい下がると購入先の切り替えを検討するか、との質問に対する回答結果に大きな差が出た。「下がらなくても変える」と回答した人の比率は北海道が最も多くて10%にのぼった(図4)。

 さらに3%以下の引き下げ率でも検討すると回答した割合を合計すると、四国が37%で最も高く、北陸が13%で最も低かった。北海道は31%で2番目、東京は29%で3番目だ。現在の電気料金に対する不満度が明確に表れた結果と言える。

図4 切り替えを検討し始める電気料金の引き下げ率。出典:資源エネルギー庁

 このアンケート調査は全国の20歳〜69歳の男女を対象にインターネットを使って実施した。調査期間は2014年4月5日〜7日で、電力小売の全面自由化を規定する法改正案が国会に提出された2月28日から、約1カ月を経過した時期である。全国10地域の電力会社に応じて人口分布の比率で対象者数を配分した。

第11回:「小売の全面自由化は2016年4月に実施可能、運営機関の準備が進む」

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