電力小売で中部にも進出、オリックスが電力会社の値上げに対抗電力供給サービス

2009年から電力市場に参入したオリックスが東京・関西・中国に続いて中部でも小売事業を開始した。中部電力が企業向けの電気料金を4月から値上げしたのを機に顧客獲得を目指す。企業や自治体の省エネを支援するESCO事業とも組み合わせて、電力コストの削減ニーズに対応していく。

» 2014年04月02日 19時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 オリックスが4月1日から電力の小売を開始したのは中部電力の管内のうち、愛知・三重・岐阜・静岡・長野の5県である。すでに東京・関西・中国電力の各エリアで小売事業を展開していて、残る地域の中では最大の顧客数を抱える中部電力のエリアにも進出した。

 現在のところ電力の小売は企業や自治体を対象にした高圧(契約電力50kW以上)に限って自由化されている。オリックスは5年前の2009年4月1日に新電力に登録して小売事業に参入した。自社の発電設備に加えて契約先の発電所から電力の供給を受けて、電力会社よりも安い料金で顧客に提供する(図1)。

図1 電力小売事業の概要。出典:オリックス

 オリックスはグループ企業を含めて太陽光発電や風力・地熱・バイオマス発電を全国各地で展開している。今後さらに発電規模を拡大する計画で、自社と契約先を合わせた供給能力を高めていく。

 電力小売に加えて、省エネ設備の設置から運営までを一括で提供するESCO(Energy Service COmpany)サービスも強化する(図2)。ESCOを通じて企業や自治体の電力使用量を削減しながら、電力そのものを低料金で提供してコスト削減効果を拡大する狙いだ。

図2 ESCOサービスの仕組み。出典:オリックス

 これまで中部電力は東京や関西などの周辺地域よりも安い料金で電力を提供してきたが、4月から企業向けの値上げを実施した。家庭向けの電気料金は経済産業大臣からの認可が遅れて実施できない状態にあるが、小売が自由化されている企業向けは4月から新しい単価で契約することができる。

 特に中部電力の管内には自動車産業を中心に大量の電力を利用する製造業が数多く立地している。電力コストの削減ニーズは大きく、新電力が顧客を開拓しやすい状況になっている。

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