新電力のシェアが急上昇、小売の全面自由化を控えて4%突破電力供給サービス

2013年度上期の販売電力量で新電力のシェアが4%を超えた。前年同期から0.6ポイント上昇して、初めて4%を突破した。電力の需要が減少している状況にあって、企業向けの市場では新電力が販売量を増やしている。特に中小規模のオフィスや工場でシェアを伸ばした。

» 2013年11月19日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 資源エネルギー庁が電力会社を含む電気事業者の販売量をまとめた調査で明らかになった。2013年度上期(4〜9月)の企業向けの販売電力量は前年同期から0.9%の減少に終わったが、その中で新電力(正式名称は「特定規模電気事業者」)の販売量は17.0%の大幅な増加を記録した。市場シェアは3.5%から4.1%へ急上昇して、初めて4%を突破する結果になった(図1)

図1 電力小売が自由化されている「特定規模需要」の販売電力量(資源エネルギー庁による)

 電力市場では企業向けの「特別高圧」と「高圧」を合わせた「特定規模需要」に限定して小売を自由化していて、電力会社のほかに新電力も販売することができる。2012年度まで新電力のシェアは3.5%程度にとどまっていたが、2013年度上期は特に高圧が大きく伸びてシェアを押し上げた(図2)。

 高圧の電力は企業向けでも中小規模の利用者が多い。2004年から自由化されたものの、特別高圧に比べて新電力を利用するケースが少なかった。2013年度に入って電力会社が相次いで値上げに踏み切ったことで、料金の安い新電力に切り替える動きが企業や自治体のあいだで急速に広がったものと考えられる。

図2 「特定規模電気事業者(新電力)」の販売電力量シェア(資源エネルギー庁による)

 一方で大規模なオフィスや工場を対象にした特別高圧は過去3年間に新電力のシェアが下がってきていたが、再び上昇傾向に戻った。下期を含めた年間の販売電力量でも新電力のシェアが増加すれば、ようやく自由化の効果が出始めたと言える。

 3年後の2016年には家庭や商店を対象にした「低圧」の領域まで全面的に自由化される。それまでに新電力が企業向けでどのくらいシェアを伸ばしているかによって、全面自由化後の電力市場における競争状態も変わってくる。

 新電力として参入する事業者は2013年度に入って大幅に増えた。11月14日現在で新電力の登録数は113社にのぼるが、そのうち2013年度上期に事業を開始した新電力は16社、下期に開始を予定している事業者は18社ある。

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