群馬県の北西部にあって豊かな自然に恵まれた中之条町が、みずから新電力を設立して、地域のエネルギー供給に乗り出した。電力源として町内の3カ所にメガソーラーを建設するほか、小水力発電やバイオマス発電にも取り組み、再生可能エネルギーの地産地消を推進する。
中之条町は6月に町議会の決議を受けて「再生可能エネルギーのまち中之条」を宣言した。その宣言に沿って新電力(特定規模電気事業者)の「一般財団法人 中之条電力」を設立して、10月2日から電力の小売事業を開始した。当面は町役場や小中学校などの公共施設を対象に電力を供給する方針だ。
販売する電力は町内で発電する。すでに3カ所でメガソーラーの建設を進めていて、いずれも2013年度中に運転を開始する予定になっている(図1)。3カ所を合計すると発電能力は5MW(メガワット)になり、一般家庭で約1500世帯分の電力を供給することができる。
このほかにも農業用水路を利用した小水力発電を準備中で、2014年度に工事を開始する計画だ。さらに町内の86%を占める森林から出る間伐材を活用して、バイオマス発電に取り組むことも検討している。中之条町には全国的に有名な四万(しま)温泉があり、地熱発電の可能性も大いにある。
農業を中心に約1万8000人が暮らしているが、最近では徐々に人口が減って、30年後には半分の9000人を下回るとの予測もあり、町の活性化が急務になっている。自然環境を最大限に生かした町づくりには、再生可能エネルギーを積極的に推進することが最も有効であると判断して、宣言とともに具体的な施策を開始した。
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キーワード解説:電力会社と競争する「新電力」
キーワード解説:水路があれば発電できる「小水力発電」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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