カナダ企業の国内法人であるSolar Power Networkは、関東や中部地方にショッピングセンターチェーンを展開するベイシアから33カ所の屋根を借り、合計出力29MWの発電を始める。屋根の破損対応や、非常時の給電などベイシア側のメリットが大きな事例だ。
公共施設や工場、店舗などの屋根(屋上)を利用し、太陽光発電システムを設置する事例が相次いでいる。地方自治体が施設の屋根を貸し出す事例も目立つ(関連記事)。屋根を貸し出す側は、「地代」を得ることができ、屋根を借りる企業側は固定価格買い取り制度(FIT)による売電収入が目的だ。
ただし、屋根貸しタイプの太陽光発電には、戸建て住宅への設置やメガソーラーなどとは異なる課題がある。例えば借り受けた屋根が太陽光発電と無関係に破損した場合、どのように対応すればよいのだろうか。発電期間が20年間にもわたるのであれば、破損は起こり得る。
別の課題もある。このタイプの太陽光発電では、ほとんどの場合、借りた側が発電設備を所有し、発電した電力を全量売電する。それでは非常時に屋根の上から電力を供給するような仕組み作りは可能なのだろうか。
カナダ企業の国内法人であるSolar Power Network(SPN)は後ほど紹介するようにどちらの課題にも対応するという。同社は2014年6月、他企業が所有する33店舗の屋根を借り、合計出力29MWの「太陽光発電所」を2014年内から順次立ち上げると発表した。年間発電量は一般家庭9250世帯の消費電力量に相当する3万3500MWh(3350万kWh)、年間68万トンの二酸化炭素排出を削減する能力がある。
屋根を貸し出すのは東北地方南部から中部地方にかけて13の県に121店舗からなるショッピングセンターチェーンを展開するベイシアだ。図1にあるベイシア栗橋店(埼玉県久喜市)は、2005年に開店した店舗。売場面積が1万50m2という同社でも最大規模の「スーパーセンター」だ。
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