20年間を考えた屋上太陽光29MW、破損や非常時対応も電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2014年06月30日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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屋根の修理や交換に対応、電力も

 「屋根に(太陽光発電とは無関係な)問題が生じた場合、屋根の補修期間中、当社が太陽電池を取り外して再設置する。1カ所当たり4回まで無償で対応する。ベイシアが屋根全体をふき替える場合も、1回は無償対応する。33カ所全ての店舗でこのような契約を結んだ。このような契約を用意している競合他社は少ないと聞いている」(SPN)。

 「非常時の電力確保については、ベイシアから要望として受け取った。全ての店舗に売電用の大容量パワーコンディショナー以外に、店舗内に非常時にのみ電力を供給するための小容量パワーコンディショナーを据え付ける。店舗によって非常時に必要な最大出力が異なり、最も大型のものでは100kWだ」(SPN)。

 ベイシアがこのような要望を出した理由は、同社が多数の地域の地方自治体と「災害時における物資の供給協力に関する協定」などを締結し、地域の災害支援拠点としての機能強化を進めているためだ。「店舗近隣の住民がベイシアに集まるため、非常時に電力が必要だと聞いている」(SPN)。

どのような発電所なのか

 ベイシアの店舗屋根に設置する設備には1つ特徴がある。太陽電池モジュールの設置角度だ。一般には太陽の高度と雨による洗浄効果を期待して、関東地方などでは約30度に設置する場合が多い。「ベイシアの屋根ではほぼ0度に設置する。屋根と水平に設置することで、風荷重を少なくすることが目的だ。発電出力をモニターして汚れの影響を見る他、定期的なクリーニング点検で出力低下を抑える」(SPN)。

 発電所第1号は2014年内に完成させ、2015年内に17の施設で発電設備を動かす。「電力会社から接続承認を得ている途中の店舗があるため、詳細な店舗名や出力を公開することはできないものの、2015年内に33カ所とも工事を完了させる予定だ」(SPN)。営業中の店舗の屋根だけではなく、新店舗にも据え付ける。新店舗のうち、最初にSPNの太陽光発電システムを備えるのは、2015年春に開店を予定する伊勢崎駅前店(群馬県)だ。

 33カ所の発電設備は、設計・調達・建設(EPC)と管理運営(O&M)の全てをSPNが担当する。「施設の数、発電の出力とも巨大であるため、はっきりした数字は公開していないものの、総事業費は数十億円に及ぶ」(SPN)。

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