東芝は2014年7月、開発中の有機薄膜太陽電池の性能が9.9%に達したと発表した。5cm角の太陽電池モジュールであり、同社によれば世界最高記録だという。同時に1cm角の単層太陽電池セルでは変換効率11.2%を達成している。
東芝は2014年7月、開発中の有機薄膜太陽電池の性能が9.9%に達したと発表した。5cm角の太陽電池モジュールであり、同社によれば世界最高記録だという(図1)。
同時に1cm角の単層太陽電池セルでは変換効率11.2%を達成している。こちらも世界最高レベルの結果だ*1)。
*1) 米国の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は公的機関によって認証された各種太陽電池セルの変換効率の記録を公開している。2014年6月27日に公開した版によれば、有機薄膜太陽電池セルの記録は、三菱化学による11.1%である。それ以外の記録として、ドイツHeliatekは12.0%、三菱化学は11.7%という数字を公表している。
有機薄膜太陽電池は有機物(プラスチック)で作り上げた太陽電池だ。薄く軽いことはもちろん、基板材料を選ぶことにより曲がる太陽電池も実現できる(関連記事)。有機物を溶かし込んだ溶液を「塗る」ことによって製造するため、シリコン太陽電池*2)よりも大幅に低コスト化できるという期待がある(関連記事)。
*2) 単結晶シリコン太陽電池は1500度で溶かしたシリコン溶解炉から純度の高い単結晶シリコンを引き上げ法によって作り出し、ダイヤモンドワイヤーを使って薄く加工してセルを作り上げる。多結晶シリコンは溶かす温度が1000度に下がり、鋳型を使うため、単結晶シリコンよりも製造コストが安い。しかし、いずれも有機物を塗る工程よりは高コストだ。
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