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» 2014年08月13日 15時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(14):電力会社から簡単に契約変更、小売事業者がワンストップで手続き完了

2016年4月に実施する小売の全面自由化に向けて、利用者が簡単に契約を変更できる仕組みの整備が進んでいる。小売電気事業者と送配電事業者を連携する「スイッチング支援システム」によって、利用者は新しい小売電気事業者に申し込むだけで変更手続きを完了できるようになる。

[石田雅也,スマートジャパン]

第13回:「電力の需給調整を担う広域機関、中立性を重視した体制とルール」

 電力の小売自由化を有効なものにするためには、利用者が簡単な手続きで小売電気事業者を変更できるようにする必要がある。それを実現する「スイッチング支援システム」の詳細な検討が進んできた。利用者(需要家)は新たに契約する小売電気事業者に申し込むだけで、現在の事業者との契約変更も済ませることができる(図1)。

switching0_sj.jpg 図1 「スイッチング支援システム」の全体像。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 実際に企業や家庭まで電力を供給する一般送配電事業者(現在の電力会社の送配電部門)に対する変更手続きも同じシステムで完了する。2015年4月から業務を開始する「電力広域的運営推進機関」がスイッチング支援システムを開発して、小売の全面自由化が始まる2016年4月に合わせて運用を開始する予定だ。

 利用者が小売電気事業者を変更する場合には、送配電ネットワークを運営する一般送配電事業者とのあいだで変更手続きが必要になる。これを「託送異動業務」と呼んでいる。小売電気事業者が一般送配電事業者に「委託」して、利用者のところまで電力を「送る」ことになるからだ。

 この託送異動業務のうち、一部のケースを除いてスイッチング支援システムで手続きを完了できるようになる(図2)。例外は電気設備を新設・増設・減設する場合で、内線設備の工事を伴うために図面の確認が必要なケースである。それ以外はスイッチング支援システムによる電子的な申し込みだけに限定して業務の効率化を図る。

switching1_sj.jpg 図2 託送異動業務とシステム化の対象範囲(画像をクリックすると拡大)。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 託送異動業務のシステム化に合わせて、既存の託送契約の廃止手続きを小売電気事業者が代行できるようにする「スイッチング廃止取次」も実現する。利用者は新たに契約する小売電気事業者に対して廃止申し込みの手続きを依頼するだけでよい。あとは小売電気事業者がスイッチング支援システムを使って、既存の契約を結んでいる小売電気事業者や一般送配電事業者とのあいだの手続きを代行することができる(図3)。

switching2_sj.jpg 図3 「スイッチング廃止取次」の処理の流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 利用者から見てワンストップ型の機能をスイッチング支援システムで実現する狙いだ。システムの要件が固まったことで、10月には開発会社を決定して実作業に入る。2016年3月までに開発を完了して、2016年4月から実際の業務に利用する。システムの開発作業と並行して、利用者の本人確認の方法など運用ルールやガイドラインの整備も進めていく。

第15回:「電力会社に依存しない供給計画へ、広域機関が全事業者をとりまとめ」

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