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» 2014年08月14日 13時50分 UPDATE

蓄電・発電機器:データセンターが変わる、NTTが380Vの高圧直流給電に本腰 (1/2)

2016年度からNTTはグループの通信ビルやデータセンターで、HVDCシステムの本格導入を開始する。これを受けてNTTファシリティーズは、サーバに380Vの直流を給電するHVDCシステム構築サービスを2014年8月から開始した。500kW規模の案件では、約1億7000万円で構築できるという。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 NTTファシリティーズは、データセンターなどのサーバに直流で給電するサービスを2014年8月から開始した。高電圧直流(HVDC:High Voltage Direct Current)給電システムにおけるワンストップソリューションの提供を目指す。

 同社が主張するHVDC化のメリットは図1の通り。消費電力量(二酸化炭素排出量)が20%減ることが最大のメリットだ*1)。システムの導入コストは従来の給電システム(交流給電システム)と同等であるという。「500kWを給電するHVDC給電システムを新規に構築するサービスの費用は約1億7000万円である」(NTTファシリティーズ)。

 さらに電源装置の設置スペースが40%減り、システムの信頼性が10倍に高まるという。

*1) 通信とICT関連の企業が参加するベルギーGeSI(Global e-Sustainability Initiative)が2008年に公開したレポート「SMART 2020」によれば、ICT分野における二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量は8.3億トン(二酸化炭素等価)。これが2020年には14.3億トン(同)に増加するという。HVDCはこのような傾向を抑える役に立つという。

yh20140814HVDC_merit_590px.png 図1 HVDC給電システムの仕組みとメリット 出典:NTTファシリティーズ

 HVDC給電システムが交流給電システムよりも高効率となる理由は幾つかある。まず、電力を系統から取り込み、サーバに送るまでの変換の回数が減ることだ。図1左上にある図(赤枠)では交流(AC)をUPSに通すためにいったん直流(DC)に変換後、再度交流に戻し、サーバなどのICT(情報通信技術)機器が内蔵する電源が交流に変換、基板(マザーボード)上で、さらに低圧の直流に変換している。変換回数は4回だ。

 HVDC(図2の中央下)では系統の交流を380Vの直流に変換してICT機器に送り、ICT機器の基板上で低圧の直流に変換する。変換回数が2回で済む*2)

*2) 図2の右上には高圧ではない直流給電(48V)の例を示した。変換の回数はHVDCと同じだが、HVDCの方が長距離の給電が可能であり、給電ケーブルを細くできるため、設備コストが低くなるという。ケーブルの細線化は空気抵抗を減らし、空調効率改善にも役立つ。

トータルソリューションをうたう

 HVDC給電システムを導入する際には、既存の交流給電システムとは異なる設計や保守・運用が必要だろう。NTTファシリティーズは企画・コンサルタントから設計、工事監理、保守・運用、施設管理、改善提案、グランドデザインまで一貫したサービス提供をうたう*3)。「一般的な事例では、企画・設計から完成まで1年程度を見込む」(NTTファシリティーズ)。

*3) 中核となるHVDC整流装置システムはNTTファシリティーズが三菱電機や新電元、オリジン電気と共同開発した製品を用いる。

yh20140814HVDC_migration_590px.png 図2 HVDCシステムのさまざまな構成 出典:NTTファシリティーズ

 HVDC給電システムを導入する際の基本的な構成は、図2最上部の青線と青点線の枠に囲まれた部分。HVDC整流装置システムが交流200Vから380Vの直流を生み出す。そしてHVDC分電盤を経由し、ICT機器用のコンセントバーに供給される。

 全くの新規案件であれば、このような構成を受け入れやすいものの、既存の設備を順次置き換えていくような場合には向かない。そこで、図2の赤枠で示したようなマイグレーションパスも設けた。「新規案件が主力となると考えているものの、既存設備への導入も考えている。1台の装置で直流380Vと交流の両方を供給可能なハイブリッドHVDC整流装置の開発に既に着手しており、2014年度中に開発完了を見込む。2015年度から販売が可能になるだろう」(NTTファシリティーズ)。

 NTTファシリティーズがHVDCソリューションサービスに本腰を入れたのはなぜだろうか。標準化が進み、導入の機運が高まったと判断したからだ。

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