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» 2014年08月25日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:風の揺らぎを熱でカバー、作った蒸気でバイナリー発電 (1/2)

東芝と神戸製鋼は、2014年8月、複数の再生可能エネルギーを組み合わせた発電システムの実証試験を淡路島で開始した。風力発電の出力変動によって生まれた余剰電力と太陽熱を組み合わせて蒸気を生み出し、バイナリー発電機を動かすという国内初の取り組みだ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20140825awaji_map_250px.jpg 図1 兵庫県南あわじ市とシステムの位置

 東芝と神戸製鋼は、2014年8月、複数の再生可能エネルギーを組み合わせた発電システムの実証試験を兵庫県南あわじ市阿万西町で開始した(図1)*1)。2014年度末まで取り組む。

 「国内で初めて取り組むタイプの実証試験だ。例えば国内で発電届けを提出した太陽熱発電としては初の事例である」(東芝)。このため、実証試験では数値目標を定めていない。複数の再生可能エネルギーを組み合わせたシステムを構築できるかどうかを探る。自然条件の変換にかかわらず安定した電力や温水を得るシステムだ。

2つの目標を追い求める

 実証試験の内容は大きく2つに分かれる。第1が、風力発電の短期的な出力変動を平滑化すること。第2が平滑化の際に取り出した電力(出力変動成分)から熱を作り出し、別に用意した太陽熱集熱器、バイオマスボイラーの熱と足し合わせて利用することだ。熱を蒸気に変えてバイナリー発電機に通し、電力・温水供給システムを構築する。

 実証試験に使うシステムの全体構成を図2に示す。図左側の赤い線で結ばれた部分では、風力発電機の出力のうち、一部の余剰電力を使って電気ヒーターを動かす。電気ヒーターでは「熱媒体(オイル)」を予熱する。その後、複数の集熱器で太陽熱を集める。「オイルの温度は300度に達する」(神戸製鋼)。この熱を使い、図中央上の蒸発器で130度以上の蒸気を作る。

 図右側では2基のバイオマスボイラーを使って補助的な蒸気を作る。これを先ほどの蒸気と足し合わせてバイナリー発電機に送り込む。

 なお、図2中央下に描かれた風力発電所は既設のものであり、2002年に設立された南淡風力エネルギー開発が事業主である。出力1500kWの風車1基(タワーハブ高64.7m、ローター直径70.5m)を備える。風車からの電力は関西電力に売電している。実証試験の立地は、風車の位置から決めたという。

*1) 環境省の地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(競争的資金)に採択された事業を受けて実施するもの。2012年9月に「風車・太陽熱・バイオマスボイラをハイブリッドしたバイナリ発電に関する技術開発」事業として交付が決定し、2013年9月に着工、2014年8月に設備が完成した。総工費6億8000万円のうち、環境省の補助金で2分の1をまかなう形だ。

yh20140825awaji_system_590px.jpg 図2 システムの全体構成 出典:東芝・神戸製鋼

 以下では図2のシステムの内容を具体的に紹介する。

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