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» 2014年08月27日 09時00分 UPDATE

スマートファクトリ:工場の廃液からバイナリー発電、1日に200kWhの電力を作る

廃棄物のリサイクル処理などを手がける長野県のミヤマが、工場の廃液を再利用できる発電プラントを完成させた。廃液を化学反応させて生じる熱で温水を作り、その温水を使ってバイナリー発電方式で電力を生み出す。1日あたり30立方メートルの廃液で200kWhの発電量になる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 発電に利用できる廃液は、半導体やガラスなどの製造工程で排出する硝酸系の化学物質である。酸性の硝酸にアルカリ性の薬剤を反応させることによって中和熱が生じる。この熱を使って70〜90度の温水を作り、低温でも発電が可能なバイナリー方式で電力を生み出す仕組みだ(図1)。

miyama_binary1_sj.jpg 図1 廃液を利用したバイナリー発電の流れ。出典:ミヤマ

 長野県に本社があるリサイクル処理事業のミヤマが「イオニックパワージェネレーション」と呼ぶ技術を独自に開発した。この技術を組み込んだリサイクル処理プラントを8月初めに新潟県の燕工場に完成させて発電を開始した(図2)。1日に処理できる廃液の量は30立方メートルで、最大で200kWhの電力を作ることができる。バイナリー発電機には神戸製鋼所のシステムを採用した。

miyama_binary3_sj.jpg 図2 リサイクル処理プラントの全景(左)とバイナリー発電機(右)。出典:ミヤマ

 バイナリー発電方式は100度以下の低温でも蒸発するアンモニアなどを媒体に利用して、その蒸気でタービンを回して発電する。発電した後には媒体を冷却水で液体に戻したうえで、再び蒸発を可能にする循環型の発電方式である。最近では温泉水を利用したバイナリー発電が全国各地に広がり始めている。

 ミヤマが燕工場に設置したリサイクル処理プラントには、バイナリー発電機に温水を供給する熱交換器と、冷却水を供給するクーリングタワーを備える。このほかに廃液を格納する保管タンクや、化学反応を起こすための反応槽で構成する(図3)。さらに発電に利用した後の廃液を貯蔵する受槽があり、最後に化学薬剤などを製造してリサイクル処理が完結する流れだ。

miyama_binary2_sj.jpg 図3 リサイクル処理プラントの全体像。出典:ミヤマ

 一連の処理を通して廃液の濃度や流量、温度や圧力などをセンサーで把握しながら、化学反応を起こすために必要な薬剤の投入量を制御することで、発電に適した反応時間と温度を維持できるようにした。化学反応によって廃液が一定の温度を超えると、熱交換器からバイナリー発電機へ熱が送られる仕掛けになっている。反応時間が経過して発電可能な温度を下回ると、再び薬剤を入れて化学反応を起こして発電を繰り返す。

 ミヤマは燕工場に設置したプラントで実証研究を続けて、利用できる廃液の対象を拡大する計画だ。それに伴って工場内の他のラインにも適用範囲を広げて発電量を増やしていく。発電した電力は電力会社などの電気事業者に売電する方針である。

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