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» 2014年09月04日 16時00分 UPDATE

電気自動車:背中に100トン、電池で動く特殊車両 (1/2)

大型の車両にも電気自動車化の波が伝わり始めた。GSユアサは日本車輌製造にリチウムイオン蓄電池システムを納入。105トンを積載可能な特殊車両がプラグインハイブリッド車として走行する。日本車輌製造によれば新規市場開拓に欠かせない車だという。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 GSユアサは2014年9月、同社のリチウムイオン蓄電池システムが、日本車輌製造の搬送用車両に採用されたと発表。乗用車や商用車、バス、フォークリフトなどに続いて重量が28トンある特殊車両にも電動化の波が伝わった。

 日本車輌製造は、鉄道車両や輸送用の特殊車両などを製造するメーカー。今回、蓄電池を採用したのは「キャリア」と呼ばれる種類の大型車両である。キャリアは建設工事や製鉄所、造船所、発電所などで重量物を搬送するために使われている。公道を走行するというよりも、構内などでの短距離搬送に適した車だ。

 同社が蓄電池を採用した「NeGEM(ネジェム) HEC1050S」は積載重量105トンのキャリア(図1)。日本車輌製造は積載重量70〜700トンのキャリアを製品化している*1)。「販売台数が最も多いのは積載重量100〜130トンのキャリアだ」(日本車輌製造)。NeGEMは主力製品のラインアップにあることが分かる。

 NeGEMの寸法は長さ13.6m、幅2.7m、高さ1.6m。駆動軸は2軸(4ユニット、8輪)、制動軸は3軸(6ユニット、12輪)ある。1人で操作できるキャリアだ。

*1) 1971年に1号機のキャリアを納入後、360台以上を納入している。複数のキャリアを組み合わせて5000トンの重量物を搬送することも可能。

yh20140904NeGEM_590px.jpg 図1 電動キャリア「NeGEM」の外観(クリックで拡大) 出典:日本車輌製造

電気自動車が必要な理由とは

 同社がキャリアに蓄電池を採用した理由は3つある。燃費の向上と保守コストの低減、新規市場の開拓だ。燃費は油圧式より約30%改善する。二酸化炭素や大気汚染物質の排出量は約30%減る。

 「従来のキャリアは例えば製鉄所の近くで使っていた。ディーゼルエンジンを用い、油圧で駆動する。この結果起こる機器トラブルや油漏れによる保守コストを低減したい。もう1つの目的はキャリアの用途を広げることだ。トンネル工事や深夜の工事では排気ガスが出ないことや、騒音がないことが重視される。このような用途にNeGEMが向くだろう」(同社)。全てのキャリアを電動化する計画はないものの、用途が広がるにつれて蓄電池駆動のキャリアが増えていく形だ。

 「NeGEMには世界初となる特徴が2つある。1つは車載のリチウムイオン蓄電池のみで駆動できること、もう1つはハイブリッド車としても駆動できることだ」(同社)。

 ディーゼル発電機で電動モーターを駆動して動くキャリア自体は、10年ほど前から製品化していたという。NeGEMにも出力60kWのディーゼル発電機が搭載されている。走行モードは2つある。蓄電池のみで動作するか、蓄電池とディーゼル発電機の両方から電力を得て動作する。短距離・短時間は電気自動車として、長距離・長時間はハイブリッド車として使うことを考えた。

 「NeGEM起動時に、図2の操作画面(中央下部)からどのモードで走行するかを選ぶ。ここで『EV運転』を選ぶと、停止状態からでも電気自動車として動く。空車時であれば17.5km(75分)、105トンを積載していても6.7km(40分)走行できる。EV運転への切り替えはいつでも可能だ」(同社)。最高時速は空車時が20km、積載時は15km。

yh20140904NeGEM_display_351px.jpg 図2 NeGEMの操作画面 出典:日本車輌製造
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