ごみ焼却熱や地熱を利用できる、100kW級のバイナリー発電装置蓄電・発電機器

低温の熱を利用するバイナリー発電装置の用途が広がってきた。これまで100度未満の温水に適用できる小型の発電装置を販売してきたIHIが、新たに100度超の熱に対応できる米国製のバイナリー発電装置を日本で発売する。ごみ焼却熱や地熱などを利用して最大出力は100kW以上になる。

» 2014年09月12日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 IHIが新たに発売するバイナリー発電装置は、欧米で数多くの納入実績がある米国Verdicorp(ベルディコープ)社の製品である。バイナリー発電の媒体に有機物を利用する「有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)システム」を採用している(図1)。

図1 「有機ランキンサイクルシステム」を採用したバイナリー発電装置。出典:Verdicorp

 バイナリー発電は低温の熱でも蒸気を発生させて、タービンを回して発電することができる。通常の火力発電では高温の熱で水から蒸気を発生させるが、バイナリー発電では低温で蒸発する沸点の低い媒体を使う。Verdicorpのバイナリー発電装置は沸点が15度の「HFC-245fa(フルオロカーボン)」を利用する。HFC-245faは不燃で無毒のために安全性が高く、バイナリー発電装置で標準的に使われている。

図2 国内で発売する製品パッケージのイメージ。出典:IHI

 IHIが発売する製品は熱源の温度が120〜150度の場合に適用できて、最大出力は100kW以上になる。約2メートル四方の大きさのパッケージに収納して提供する(図2)。テストプラントで性能を確認してから、2015年3月に発売する予定である。

 対応できる温度が100度以上であることから、ごみ焼却プラントや化学プラントなどの排熱を利用する発電設備を想定している。さらに地熱発電やバイオマス発電にも用途を広げていく計画だ。

 IHIは100度未満の温水に対応した小型のバイナリー発電装置を2013年8月から販売している(図3)。この製品でもバイナリー発電の媒体にはHFC-245faを採用した。適用できる温水は70〜95度の範囲で、最大出力は20kWになる。温泉水を使った地熱発電などに納入した実績がある。

図3 100度未満の温水を利用できる小型バイナリー発電装置。出典:IHI

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