イチジクの栽培でソーラーシェアリング、2メートルの木の上に太陽光パネル自然エネルギー

大阪府の研究機関が特産品のイチジクの栽培と太陽光発電を組み合わせたソーラーシェアリングの試験を進めている。高さが2メートルになるイチジクの木の上に合計9枚の太陽光パネルを設置して、果実の生育状況や発電量を検証する。大阪府が推進するエネルギー地産地消の一環に位置づける。

» 2014年09月25日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 大阪府では東南部の南河内地域を中心にイチジクの栽培が盛んで、全国でも第3位の収穫量を誇る。南河内地域の羽曳野市(はびきのし)にある大阪府立環境農林水産総合研究所では、府の特産品であるイチジクと太陽光発電を両立させる試験を2014年7月から実施中だ。

 イチジクの木は高さが2メートル程度になるため、地上2.3〜2.5メートルの位置に太陽光パネルを設置した(図1)。太陽光パネルの発電能力は1枚あたり100Wで、3本の木に2〜4枚ずつ、合計で9枚を試験に利用している。パネルの角度は南に向けて10度に統一した。

図1 イチジクの木の上に設置した太陽光パネル。出典:大阪府立環境農林水産総合研究所

 この試験では1本の木に対して半分だけ太陽光パネルが重なるようにして、同じ木から収穫する果実の生育状況を比較することにしている。イチジクの収穫期は8月から10月で、その間に収穫した果実で検証する。さらに収穫が終わってからも日射量と発電量を計測して、太陽光発電による売電収入の可能性を探る。2014度中に試験結果をまとめたうえで、2015年度の改善策につなげる方針だ。

 イチジクは平地で栽培できることに加えて、光合成に必要な日射量が果樹の中では最も少なくて済む。こうした特性から、営農と太陽光発電を両立させる「ソーラーシェアリング」に適した農作物と考えられている。住宅地に近い場所でも栽培が可能なため、山間部と比べて発電した電力を送電線に連系しやすい点もメリットになる。

 大阪府では原子力発電に依存しないエネルギー供給体制を目指す「おおさかエネルギー地産地消推進プラン」を2014年度から開始した。6年後の2020年度に向けて供給力の増加と需要の削減を進める計画で、特に太陽光発電の規模を90万kWへ拡大することを重点施策に掲げている(図2)。ソーラーシェアリングも太陽光発電を普及させる施策の1つになる。

図2 「おおさかエネルギー地産地消推進プラン」の2020年度の目標。出典:大阪府環境農林水産部

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