トマトの生産現場で太陽光発電、農地には追尾型のシステムを導入自然エネルギー

福島県のいわき市でトマトなどを生産・販売する農業生産法人が太陽光発電事業を開始した。温室に隣接する所有地に0.5MW(メガワット)の発電設備を導入して、さらに農地にも0.4MWの設備を展開する計画だ。農地には支柱を立てて、追尾型の太陽光発電システムを設置する。

» 2014年05月22日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 いわき市にある「とまとランドいわき」の温室に隣接する土地で、太陽光発電設備が5月から運転を開始した(図1)。2500枚の太陽光パネルを使って、0.5MW(メガワット)の電力を供給することができる。農林水産省による「地域還元型再生可能エネルギー早期モデル確立事業」の助成金を受けて実施した。

図1 「とまとランドいわき」の太陽光発電設備。出典:フジプレアム

 この助成金を利用した場合には、売電収入の5%以上を地域の農林漁業の発展に生かす必要がある。とまとランドいわきは地元の農業高校で使う実習用品などに充当する方針だ。年間の発電量は64万kWhを見込んでいて、2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用すると年間の売電収入は約2300万円になる。

 さらに農地でも太陽光発電を実施する。今回の設置場所の隣にある農地に、追尾型のシステムを導入する予定だ。追尾型の太陽光発電システムはパネルが可動式になっていて、太陽の動きに合わせてパネルの向きを自動的に変えることができる。支柱の上にパネルを設置する構造のため、農地にも十分に太陽光が当たって、農作物の栽培が可能になる(図2)。

図2 農地に設置した追尾型の太陽光発電システム。出典:とまとランドいわき

 とまとランドいわきでは2012年に、追尾型の太陽光発電システムを開発するフジプレアムから寄贈を受けて、農業と再生可能エネルギーの両立に向けた実証試験に取り組んできた。その成果をもとに、75基の追尾型システムを2014年内に設置する。発電規模は0.4MWで、通常の設備を上回る発電効率を得られる想定である。

 これまで農作物を栽培していなかった農地を利用するが、追尾型の太陽光発電システムの導入に合わせて、いちじくの栽培も始める予定だ。農林水産省が2013年3月に発表した「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電」の指針に沿って実施する。

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