太陽光パネルの下で農作物を栽培、高さ2.5メートルのメガソーラーが発電開始スマートシティ

農業とエネルギー事業を融合させた先進的なメガソーラーが岐阜県で運転を開始した。県が所有する遊休地に高さ2.5メートルの架台を一面に設置して、太陽光パネルの下で農作物を育てる試みだ。1.5MW(メガワット)の電力を供給しながら、9000本の低木を栽培する。

» 2014年01月30日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「美濃加茂エネルギーファーム」の全景。出典:岐建

 岐阜県の南部にある美濃加茂市で、発電能力が1.5MW(メガワット)の「美濃加茂エネルギーファーム」が1月24日に発電を開始した(図1)。通常のメガソーラーとは見た目が違い、太陽光パネルの下に緑の葉を付けた低木がずらりと並んでいる。

 岐阜県が地域の活性化を目的に太陽光発電の事業者を募集した結果、県内の建設会社である岐建とコスモ石油販売の共同提案プロジェクトを採用したものである。

 2万5000平方メートルの敷地いっぱいに、高さが2.5メートルの架台を並べて、6500枚の太陽光パネルを設置した。架台の下には太陽光が入り込む空間を確保して、農作物を栽培することが可能になっている(図2)。

図2 太陽光パネルの設置イメージ。出典:岐阜県商工労働部

 栽培されている農作物は、神棚などに使われるサカキが6000本のほか、正月に飾られることの多いセンリョウが3000本である。どちらも温暖な気候で育ち、高さが1メートル以下の低木が多い。

 メガソーラーの発電量は年間に160万kWhを見込んでいる。一般家庭で450世帯の使用量に相当する。固定価格買取制度を通じて全量を売電すると年間に約5700万円になり、20年間の買取期間の累計では10億円以上の収入を見込むことができる。

 美濃加茂市は発電事業者から土地の賃借料を得ることに加えて、災害時にメガソーラーの電力の一部を市民が利用できる協定を事業者と結んだ。発電した電力のうち10kWまでを供給する内容で、電圧100Vの非常用コンセント3カ所のほかに、電気自動車用の充電コンセント(200V)を1カ所に設ける。

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