資金調達から電力供給まで「オール青森」で、地産地消のメガソーラー計画自然エネルギー

青森県の太平洋岸にある階上町で地産地消型のエネルギー事業が始まる。地元企業3社が中心になって3.1MWのメガソーラーを建設する計画で、資金は銀行や県による融資と市民の出資で調達する。発電した電力は新電力が買い取り、電力会社よりも安い価格で地域に供給する方針だ。

» 2014年10月02日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 青森県の階上町(はしかみちょう)は人口1万4000人の太平洋に面した町で、古くから酪農と漁業が盛んな地域だ。岩手県に隣接して、東日本大震災からの復興の途上にある。この階上町で地産地消型のメガソーラー計画が始まる。地元の民間企業3社が特定目的会社の「はしかみ未来エナジーパーク」を設立して発電事業に乗り出した。

 町内にある6.6万平方メートルの土地に、発電能力が3.1MW(メガワット)のメガソーラーを建設する計画だ(図1)。年間の発電量は331万kWhを想定していて、一般家庭で920世帯分の電力になる。階上町の総世帯数(5800世帯)の16%に相当する。

図1 「はしかみ未来エナジーパーク太陽光発電事業」の建設予定地。出典:はしかみ未来エナジーパーク

 すでに8月中旬から現地で工事を開始した。運転開始は1号(2.2MW)が2015年8月末で、2号(0.9MW)が2014年12月末を予定している。2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用できるため、年間の売電収入は約1億2000万円になる見通しだ。

 地産地消型の事業スキームにこだわり、資金調達から電力供給まで地域で完結させる(図2)。総事業費9億7000万円のうち、みちのく銀行から5億3000万円の融資を受けるほか、青森県の制度融資から3億3000万円を低利で長期に借り受ける。さらに市民の共同出資で1億円(20万円×500口)を調達する予定だ。残り1000万円を特定目的会社の資本金でカバーする。

図2 地産地消型メガソーラーの事業スキーム。出典:はしかみ未来エナジーパーク

 発電した電力は新電力のエヌパワーを通じて、地域の施設を中心に供給する方針だ。エヌパワーは愛知県に本社がある新電力だが、東北でも小売事業を展開している。階上町のメガソーラーから買い取った電力は東北電力よりも安い価格で地元に販売する。

 このプロジェクトでは事業で得られた収益の一部を地域の活性化にも生かす。現在のところ「おひさまの学校」を設立する予定で、障害者や不登校の子供たちが花や野菜の栽培・加工・販売などに携わりながら就労の機会を得られるように支援する。

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