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» 2014年10月06日 09時00分 UPDATE

和田憲一郎が語るエネルギーの近未来(4):未来がある「水素」、課題も多い (1/4)

これからは水素社会に変わっていく。燃料電池車(FCV)が水素の需要をけん引し、水素インフラが各地に整っていく。本当にそうなるのだろうか。インフラを整えることはできるのだろうか。インフラの普及に注力する企業に2社に具体的な課題を聞いた。岩谷産業と大陽日酸だ。

[和田憲一郎(エレクトリフィケーション コンサルティング),スマートジャパン]

 燃料電池自動車(以下FCV)がいよいよ登場する。トヨタ自動車は2014年度にFCVを発売、ホンダも2015年中に市販を始める見込みだ。FCVと対をなすのが水素ステーション。まさに鶏と卵の関係にある。FCVと比べて、水素ステーションの状況は今一つ分かりにくい。そこで、今回はインフラ普及を狙う企業2社に、取り組みの内容とステーションの課題についてそれぞれ聞いた。

 岩谷産業は、LPガスや水素、産業ガスなどに多角的に取り組んでいる。水素ステーションに関する現在の取り組みや今後の課題について同社の産業ガス・機械事業本部 水素ガス部長の上田恭久氏に話を聞く機会を得た(図1)。

yh20141006Wada04_MrUeda_400px.jpg 図1 岩谷産業の上田恭久氏

まずは20カ所に注力する

和田憲一郎氏(以下、和田氏) 岩谷産業の水素ステーションに対する取り組みについて教えて欲しい。

上田氏 経済産業省は、2015年度までに水素ステーションを100カ所設置することを目標に掲げている。当社はその内20カ所を設置する計画である。設置場所もほぼ固まった。なぜ当社が20カ所か。水素社会が普及発展していくためには、当社としても気概を持って、社会的使命を果たしたいと思っているからだ。

 水素ステーションの設置の検討には時間をかけている。関連する法律の整備があり、設置がやや遅れていたものの、2014年7月には日本で初めて「商用水素ステーション」を尼崎にオープンすることができた(図2、関連記事)。これを第1号として、2015年度までに20カ所設置予定である。それ以降については、まだ約束できないものの、まずは20カ所に注力したいと考えている。

yh20141006Wada04_amagasaki_413px.jpg 図2 尼崎の「商用水素ステーション」 出典:岩谷産業

和田氏 水素ステーションはオフサイト方式とオンサイト方式に分かれる。充填(じゅうてん)圧力も2種類ある。35MPa(35メガパスカル、350気圧)と70MPaだ。普及の見込みはどうか。

上田氏 当社が設置する水素ステーションは、ほぼオフサイト方式になると考えている。水素ステーション外の製造所から水素をトレーラーなどで運び込む方式だ。水素ステーション内に設置した水素製造装置を動かすオンサイト方式では設備が大掛かりになり、費用の面から合理的でない。水素製造装置にとどまらずバックアップ機器も必要となるからだ。加えて、当社は水素を大規模に製造し、流通させているため*1)、わざわざ敷地内で小規模で作る方式よりも、既存の大型設備を使う方が高効率だ。充填圧力は全て70MPaを採用予定である。

*1) 水素ステーションの登場以前、2014年6月時点の水素の市場シェアは、岩谷産業が約60%を占めている。

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