東京湾岸の工業地帯に水を供給するためのダムが千葉県内に6カ所ある。そのうちの1つを利用して水上にメガソーラーを建設する計画が始まった。千葉県の企業庁が発電事業者を募集して、2015年度中の運転開始を目指す。首都圏で2カ所目の水上メガソーラーになる見通しだ。
東京湾から5キロメートルほどの近距離に「山倉ダム」がある(図1)。工業用水を湾岸地域に供給するために建設したダムで、49年前の1965年から給水を続けている。空き地が少ない首都圏にあって、広さが60万平方メートルに及ぶダムの水面にメガソーラーを建設するプロジェクトが動き出した。
山倉ダムを運営する千葉県の企業庁が発電事業者の募集を10月23日に開始した。ダムの水面のうち約3分の1にあたる18万平方メートルを事業者に提供して、太陽光パネルを水上に浮かべるフロート式のメガソーラーを建設する計画だ(図2)。パネルの設置枚数や発電能力は事業者の提案によって決まるが、設置可能面積をフルに使うと発電能力は10MW(メガワット)を超える。
国内では埼玉県の桶川市にある工業団地の調整池を利用した「ソーラーオンザウォーター桶川」が初めての水上メガソーラーで、2013年7月に運転を始めている(図3)。このメガソーラーでは1万2400平方メートルの水面に、4500枚の太陽光パネルを設置して1.18MWの発電能力がある。これに対して山倉ダムのパネル設置可能面積は10倍以上になる。
千葉県の企業庁は11月中に事業者を選定して、2014年度中に契約を締結したい考えだ。メガソーラーの運転開始は2015年度中を条件にする。水面の使用料は1平方メートルあたり年間45円を目安にしている。18万平方メートルを利用すると800万円程度になり、使用期間の20年間を累計すると約1億6000万円になる。
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