東電よりも1円高く電力買取、総量40MWを狙う電力供給サービス

ソフトバンクグループに属するSBパワーは、2014年12月1日から関東圏で、太陽光発電の電力を固定価格買取制度よりも1円高く買い取るサービスを開始した。低圧の余剰買取と全量買取が対象になる。買い取った電力は法人に販売する。

» 2014年12月02日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ソフトバンクグループで電力小売事業を進めるSBパワーは2014年12月1日から電力買取サービスを開始したと発表した。

 出力50kW未満の太陽光発電システムを導入している個人や事業者を対象に、固定価格買取制度(FIT)の買取価格よりも1円高く買い取るサービスだ(図1)。対象地域は関東圏(東京電力管内)。

 サービスの第1期募集では1万棟に限定する。その後、順次拡大していく。「第1期で買い取る電力の総量は40MW相当になると考えている。本州最大のソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク(出力約42.0MW)とほぼ同じ規模だ」(同社)。

図1 低圧電力買取サービスの例 2013年度の買取価格が適用されている余剰電力(10kW未満)の場合を示した(クリックで拡大) 出典:SBパワー

 「第1期を1万棟で区切った理由は2つある。1つはサービス導入のペースをつかむこと。もう1つは買い取った電力の販売だ。当社は2014年7月から関東エリアの法人向けに電力小売事業を進めている。50kW以上の高圧電力の販売だ。今回買い取った電力をきちんと法人に販売できるかどうかも確認していく。その後、他の地域も対象とした第2期に進む」(同社)。

 「当社は電力小売全面自由化に向けた事業参入を表明していない。ただし、法人向けの小売や今回の分散電源購入の取り組みなどを通じ、発電、送電、売電へと1歩ずつ進んでいる形だ」(同社)。

どの程度有利なサービスなのか

 同社のサービスは、既に東京電力に売電しているユーザーが対象だ。同社の買取サービスは余剰買取(10kW未満、10年間)、全量買取(10kW以上、20年間)の両方を対象としている。ただし、2014年3月までの買取価格が適用されている設備のみを扱う。

 東京電力と買取契約を結んだ1年後、SBパワーへ契約を変更した場合、出力20kWのシステムでは、19年間で約41万円、買取総額が増えるとした。同様に出力4.5kWの余剰買取の場合は9年間で約2万4000円だという*1)

 申し込み書類に記入して発送するとSBパワーへ契約を切り替えることができる。切り替え手数料や経費は不要だ。ただし、切り替えに必要な期間が3〜4カ月と長い。東京電力側の手続きに要する時間などが理由だ。なお、手続き中に売電が中断する期間はない*2)

 契約変更後は3カ月に1回、買取金額が支払われる。スマートフォンやPCを使うと、買取金額の明細を無料で閲覧できる。

*1) いずれも2014年2月にシステムを設置し、2015年2月にSBパワーへ契約を変更した場合。余剰買取はJPEAの資料により試算した値であり、自家消費量の多寡によって、買取総額が異なる。
*2) 契約期間は初回が3年間、以降2年間ごとに自動更新し、FITの買取期間中、継続する。契約中に解除すると、契約解除料(最大9500円)が必要になる場合もある。

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