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» 2014年12月05日 07時00分 UPDATE

省エネ技術:新幹線で電力を2%節減、回転部分を減らす (1/2)

JR東海は東海道新幹線の「周波数変換装置」を取り換えると発表した。神奈川県内の2カ所の設備に対して、事業費134億円を投じ、約8年間で工事を完了する。電力使用量を2%削減でき、メンテナンスコストも下がる。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 日本の電力系統は東の50Hzと西の60Hzの2つに分かれている。太平洋側では静岡県が両方にまたがっており、富士川より東は50Hz、西は60Hzだ。このため、東京電力と中部電力の間には3カ所の周波数変換設備が置かれており、50Hzと60Hzの電力を必要に応じて相互に変換している(関連記事)。

自力で60Hzを作り出す

 それでは両方の地域にまたがる鉄道はどうなっているのか。東海道新幹線は全線で60Hzの交流(2万5000V)を利用している(図1)。JR東海は周波数を変換する設備を自ら運用しており、富士川より東では電力会社から受けた50Hzの交流を使って、60Hzの交流を作り出している。ここに改善の余地があった。

 2014年11月、JR東海は東海道新幹線の「周波数変換装置」を取り換えると発表した。事業費134億円を投じ、約8年間で工事を完了する。

 目的は2つある。1つは周波数変換時の電力ロスを減らすこと。もう1つは定期点検に要する時間を短縮することで、より容易に安定輸送を実現することだ。いずれも運用コスト低減に役立つ。「装置の取り換えによって、電力使用量を2%削減できる見込みだ。電気料金の削減額に換算すると、年間数億円程度に相当する。定期点検の時間を短縮できる効果は費用に計算しにくいものの、投資対効果がある」(JR東海)*1)

*1) 同社は車両側の消費電力低減に向けた開発も続けている。図1にあるN700Aは2013年2月から営業運転を開始した最新の車両。従来のN700系と比較して、東京、新大阪間を走行した場合、消費電力量が19%少ない。車内の照明にLEDを採用することで、N700系と比較して照明用明電力も約20%削減した。

yh20141205JRc_N700A_585px.jpg 図1 省エネ型新幹線車両N700A 出典:JR東海

物理的な変換を電気的な変換に変える

 交換前の周波数変換装置を「回転形周波数変換装置」と呼ぶ。まず、50Hzの交流でモーターを回転させる。モーターの軸は発電機と直結しており、発電機が60Hzの交流を生み出す(図2)。

 モーターと発電機を組み合わせた機械的な変換装置であるため、回転による損失が生じる。さらに定期点検時には機器を解体する必要があり、点検時間が長引いてしまう。

yh20141205JRc_rotational_370px.jpg 図2 回転形周波数変換装置の外観と動作の仕組み 出典:JR東海

 交換後の装置の名称は「静止形周波数変換装置」。50Hzの交流をコンバーターに入力すると直流を生み出し、その直流をインバーターに入力することで60Hzの交流を生み出す(図3)。太陽光発電システムで必要なインバーター(パワーコンディショナー)に機械形が存在しないことからも分かるように、静止形は変換効率が高い。つまり損失が少ない。

 これらのインバーターやコンバーターには大電力に耐えるパワー半導体を用いる。「導入するパワー半導体の候補は3つある。IGBTとIEGT、GCTだ。今後、導入時の仕様を決定していく」(同社)*2)

*2) IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)は、太陽光発電用のパワーコンディショナーにも多用されている。日本人の発明によるトランジスタだ。1980年代には既に第一世代品の製品化が始まっている。IEGT(電子注入促進型トランジスタ)は東芝の技術者が1992年に開発した技術。GCT(GCTサイリスタ)は三菱電機の技術者が1995年に開発した技術だ。

yh20141205JRc_static_370px.jpg 図3 静止形周波数変換装置の外観と動作の仕組み 出典:JR東海
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