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» 2015年01月20日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(39)高知:バイオマス発電で全国1位に、太陽と風にも恵まれた南国の地

四国の中で再生可能エネルギーの導入が最も進んでいるのは高知県だ。固定価格買取制度が始まってから新しい発電設備が続々と運転を開始している。バイオマスの導入量は全国で1位になり、世帯あたりの供給率でもトップに躍り出た。太平洋に面した地の利を生かして太陽光や風力も伸びていく。

[石田雅也,スマートジャパン]

 高知県のほぼ中央にある高知市の地形を見ると、この一帯が再生可能エネルギーに適した場所であることがよくわかる。北部に連なる山脈から何本も川が流れて、南部には平野と海が広がっている(図1)。森林のバイオマス資源に加えて、全国でもトップクラスの日射量と風速を利用できる恵まれた環境にある。

図1 高知市の地勢。出典:高知市環境部

 その中でも特に活発になってきたのがバイオマス発電だ。高知市内の木材団地では、地域の間伐材などを利用できる木質バイオマス発電所の建設が進んでいる。高知県森林組合連合会などが設立した「土佐グリーンパワー」が2015年4月に運転を開始する計画である(図2)。

図2 「土佐グリーンパワー土佐発電所」の完成イメージ(上)と建設状況(下)。出典:土佐グリーンパワー、高知県林業振興・環境部

 発電能力は6.25MW(メガワット)で、年間に約4000万kWhの電力を供給することができる。一般家庭で1万1000世帯分に相当する電力を木質バイオマスで作り出す。建築廃材などは使わずに、未利用の木材だけで年間に7〜8万トンを確保する予定だ。これまで使われることのなかった森林資源を活用して林業の活性化につなげる狙いがある。

 未利用の木材は森林から団地に直接搬入して、燃料に加工するプロセスまでを一貫して処理する。こうした燃料の加工を含む一体型の木質バイオマス発電所は日本で初めての試みになる。発電した電力は高知市内を走る路面電車にも供給して、地産地消の再生可能エネルギー事業として発展させていく考えだ。

 高知県では2012年度から「こうち型地域還流再エネ事業」を推進している。再生可能エネルギーによる発電事業を県・市町村・民間企業の3者で実施して、その収益を地域のサービスに活用するスキームである(図3)。

図3 「こうち型地域還流再エネ事業」のスキーム。出典:高知県林業振興・環境部

 こうち型の再エネ事業は太陽光発電を中心に県内各地へ広がってきた。太平洋が南側に広がる高知県は日射量が豊富で、太陽光発電システムの年間発電量は山梨県や静岡県と並んで全国でもトップクラスである(図4)。それだけ発電事業の収益を大きく増やすことができる。

図4 太陽光発電システムの年間発電量(左)、主要都市の日射量と日照時間(右)。出典: NEDO、高知県林業振興・環境部

 すでに6カ所で地域還流方式の発電プロジェクトが始まっていて、2015年の夏までに6カ所すべてが運転を開始する予定だ(図5)。発電能力を合計すると約10MWになり、年間の発電量は1150万kWhにのぼる。一般家庭で3200世帯分に相当する規模で、売電収入は年4億円を超える見込みである。

図5 「こうち型地域還流再エネ事業」の実施状況(2014年6月時点。画像をクリックすると拡大)。出典:高知県林業振興・環境部

 これまでに高知県内で固定価格買取制度の認定を受けた発電設備は太陽光からバイオマスまで4種類ある。そのうち運転を開始した発電設備の規模ではバイオマスが全国で第1位になった(図6)。海外から輸入したパームヤシ殻を燃料に利用できるバイオマス発電所が2013年から高知市内で運転を開始した効果だ。

図6 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

 バイオマスと太陽光を合わせると、1世帯あたりの供給率も全国でトップになった。さらに風力や小水力を含めて地産地消による再生可能エネルギーの導入量が増加して、高知県の電力自給体制はますます充実していく。

*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −四国編−」をダウンロード

2016年版(39)高知:「電力自給率100%へ、全国屈指のエネルギー資源を生かす」

2015年版(39)高知:「再生可能エネルギーの電力が10万世帯分、木質バイオマスが地域をめぐる」

2013年版(39)高知:「カルスト高原に吹く風を受けて、電気料金のいらない町へ」

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