「山の形」の発電所、太陽光で24MW自然エネルギー(1/2 ページ)

ハンファQセルズは2015年1月15日、出力24.47MWの大規模太陽光発電所「ハンファソーラーパワー杵築」(大分県杵築市)が運転を開始したと発表した。初期コストを抑え、面積効率を高めるために山の形をそのまま生かした発電所である。

» 2015年01月20日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 大分県杵築市と発電所(赤)、大分県庁(青)の位置

 ハンファQセルズは2015年1月15日、出力24.47MWの大規模太陽光発電所「ハンファソーラーパワー杵築」(大分県杵築市山香町)の運転を開始したと発表した(図1)。

 杵築(きつき)市は国東(くにさき)半島の南側に位置する。海側にある中心部を除き、緩やかな山に囲まれた谷間に農地が広がっている。24MW強のメガソーラーを立ち上げるような土地は見当たらない。そこで小さな山を利用した。

 「ゴルフ場建設予定地となっていた山地を丸ごと購入して発電所に当てた」(同社)。購入した土地の面積は約29万9940m2。だが、24MW強の発電所を立ち上げるには多少手狭だ。

 通常、山間部を利用してメガソーラーを立ち上げる場合、山の斜面を造成してだんだん畑のように造成する。「今回は土地を平らに造成せず、山の形を残して斜面に沿って太陽電池を並べる設計を採った。余剰地も作らず、じゅうたんのように敷き詰めた」(同社)。発電所の外観を図2に示す。

図2 ハンファソーラーパワー杵築の外観 左下方向が南(クリックで拡大) 出典:ハンファQセルズ

工期の短縮に成功、整地には苦労

 ハンファソーラーパワー杵築の総事業費は土地購入費を含めて64億円。1MW当たりの事業費は2億6000万円であり、平均的なメガソーラーよりも低コストだ。

 これは山地を造成せずに、地形をそのまま使ったことが大きい。2013年10月に着工し、2015年1月に運転を開始しているため、工期は1年強である。工事期間も比較的短い。

 それでも工事にはかなり苦心したという。「ゴルフ場の工事が始まっていなかったため、まず樹木を抜根伐採した。その後、地中に岩が多いことが分かり、これを取り除くために非常に苦心した」(同社)。

 施工面で難しかったのは、土地の勾配に沿って架台をきれいに並べ、取り付けることだったのだという。架台は通常のものを使った。資材のコストを抑えることはできたが、施工に手間取った。

 山地を利用したため、環境面にも配慮した。「発電所建設のために伐採した樹木は廃棄物にせず、土に帰るようチップに加工して土地に敷き詰めた。林がなくなったことで、山の保水効果が落ちる恐れがあり、それによる水害を避けるため排水施設・調整池も整備した」(同社)。

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