発電するセンサーからデータ収集、セブン-イレブン2000店舗で10%の省エネ省エネ機器

みずから発電する小型の電流センサーや温度センサーを利用して、店舗やオフィスのエネルギー消費量を削減する取り組みが進んでいる。セブン-イレブンでは2000店舗を対象に約2万個のセンサーを設置して、無線で収集したデータを分析することでエネルギー消費量を10%削減した。

» 2015年02月12日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 セブン-イレブン・ジャパンが店舗の省エネに利用しているセンサーは、「グリーンMEMSセンサー」と呼ぶ自立電源を内蔵した小型の機器である。さまざまな機能を小さな機器の中に実装する「MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)」の技術を応用して開発したセンサーだ。

 グリーンMEMSセンサーは太陽電池などを電源に150μW(マイクロワット)程度の発電量を得ながら、微小な電力で温度などを計測して、無線でデータを送信することができる。発電量よりも少ない100μW程度の消費電力で動作するため、外部から電力を供給する必要がない。設置スペースは救急ばんそうこうと同程度の2×5センチメートルほどに収まる。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とNMEMS技術研究機構が共同で3種類のグリーンMEMSセンサーを開発した(図1)。電力・磁界センサー、塵埃(ちり・ほこり)センサーのほかに、温度を測定できる赤外線アレーセンサーがある。さらにCO2などを測定するガス濃度センサーも実証中だ。セブン-イレブンが設置したセンサーも両機構が開発したものである。

図1 「グリーンMEMSセンサー」の構成例。出典:NEDO、NMEMS技術研究機構

 セブン-イレブンは2012年から約2000店舗のコンビニエンスストアに電流センサーや環境(温度・湿度)センサーを設置して省エネに取り組んできた(図2)。店舗内の機器の状態や扉の開閉状況などを見える化して、機器の入れ替えやレイアウト変更などを実施した結果、エネルギーの消費量を10%削減することができた。

図2 セブン-イレブンの店舗を対象にした実証システム。出典:NEDO、NMEMS技術研究機構

 NEDOとNMEMS技術研究機構の共同プロジェクトでは、中小規模のオフィスでもグリーンMEMSセンサーの効果を検証している。面積が500平方メートル未満のオフィスの照明に赤外線アレーセンサーを取り付けて、フロアの温度分布をもとに空調や照明を最適に制御する(図3)。この効果でエネルギーの消費量を10%以上も削減した。

図3 中小規模のオフィスを対象にした実証システム。出典:NEDO、NMEMS技術研究機構

 NMEMS技術研究機構にはセブン-イレブンのような導入企業のほかに、電気機器や電子部品の大手メーカーがメンバーに加わっている。今後は参加メンバー各社がプロジェクトの成果をもとに製品化を進めていく。第1弾はオムロンが人感センサーを2015年度の上期に発売する予定だ。

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