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» 2015年02月18日 15時00分 UPDATE

キーワード解説:電気料金を変動させる「燃料費調整単価」

電力会社が企業や家庭に請求する電気料金を計算する時に、毎月の単価を変動させるものが1つだけある。「燃料費調整単価」と呼ばれる上乗せ分で、化石燃料の輸入価格に連動して上下する。電力会社によって石油・LNG・石炭の構成比が違うため、燃料費調整単価の変動額も各社で差がある。

[石田雅也,スマートジャパン]

 新聞には毎月のように電気料金の値上げや値下げの記事が載っている。電気料金に上乗せする「燃料費調整単価」が月ごとに上がったり下がったりするからだ。しかも電力会社ごとに毎月の変動額が違うので厄介な話である。

 地域によって電気料金に差があるのは主に燃料費の違いによる。燃料費は2通りの方法で電気料金に反映する仕組みになっている。1つは料金を改定する時に、もろもろの経費と合わせて原価を想定して単価に反映させる。いわゆる「総括原価方式」と呼ばれる料金の改定方法である。もう1つが毎月の燃料費調整単価だ。

 小売の全面自由化が実施されると、電力会社を含めて各事業者が自由な料金を設定できるようになる。自由化の前後の料金の変化を理解するうえで、現行の燃料費調整単価の仕組みを大まかに知っておくことは重要だ。電力会社の中では東北電力の説明が丁寧でわかりやすいので、図を引用しながら燃料費調整単価の概要を見ていこう。

 電気料金のうち基本料金は契約電力によって毎月固定で、電力量料金の部分が使用量に応じて増えていく構造になっている(図1)。ただし電力量料金の単価は電力会社が改定しなければ変わることはない。

nenryouhi2_tohoku_sj.jpg 図1 電気料金の計算方法(家庭向けの標準メニューの場合)。出典:東北電力

 料金の改定がなくても変動するのが燃料費調整単価で、3〜5カ月前の3カ月間の「平均燃料価格」をもとに決めることになっている(図2)。例えば5月分の単価は12〜2月の3カ月間の平均燃料価格を適用する。実際の燃料の価格は財務省が毎月まとめる貿易統計による。

nenryouhi3_tohoku_sj.jpg 図2 燃料の価格を電気料金に反映するタイミング。出典:東北電力

 この平均燃料価格が為替レートの影響もあって常に変動する。東北電力が2015年3月分の燃料費調整単価を発表した際に、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の価格を2013年9月の料金改定時と比較している(図3)。2年前の改定時と比べてLNGの価格が大幅に上昇していることがわかる。

nenryouhi6_tohoku_sj.jpg 図3 貿易統計実績による燃料価格の変動。出典:東北電力

 それぞれの化石燃料の価格から3カ月間の平均燃料価格を計算して、燃料費調整単価が決まる。しかも家庭や商店向けの電灯・低圧のほか、企業や自治体向けの高圧と特別高圧ごとに毎月の燃料費調整単価が設定される(図4)。通常は電灯・低圧のほうが高圧・特別高圧よりも高い。

nenryouhi1_tohoku_sj.jpg 図4 2015年3月分の平均燃料価格と燃料費調整単価(東北電力の場合)。出典:東北電力

 参考までに東北電力の場合の平均燃料価格と燃料費調整単価の計算式を挙げておく(図5)。平均燃料価格は3種類の化石燃料の価格をもとに、火力発電所で使用する燃料の熱量に応じて係数をかける。

 さらに料金の改定時に想定した「基準燃料価格」が決まっていて、その後の平均燃料価格との差をもとに燃料費調整単価を算定する仕組みだ。基準燃料価格の1.5倍が上限で、それ以上に平均燃料価格が上昇しても燃料費調整単価には反映できないことになっている。

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nenryouhi4_tohoku_sj.jpg 図5 平均燃料価格と燃料費調整単価の計算方法(金額は東北電力の場合)。出典:東北電力

 新電力も地域ごとに電力会社の燃料費調整単価を上乗せするのが通例である。ただし2016年4月に小売全面自由化が実施されると、家庭向けを含めて料金の設定が自由になる。燃料費調整単価を上乗せしない新電力が数多く出てくるはずだ。電力の購入先を選ぶうえでチェックポイントの1つになる。

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