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» 2015年02月20日 13時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(31):広域機関が7種類の業務を4月1日に開始、500社を超える電気事業者が対象

電力市場を改革するための第1段階に向けて着々と準備が進んできた。中核の役割を担う広域機関が500社以上の電気事業者を会員に加えて、4月1日から7種類の業務を開始する予定だ。新電力を含めて会員になる電気事業者は毎年度の供給計画を広域機関に提出する義務が生じる。

[石田雅也,スマートジャパン]

第30回:「新電力が500社を突破、1年間で3倍に増える」

 改革の第1段階を推進する「電力広域的運営推進機関」(略称:広域機関)の会員登録が2月末に完了する見込みである。会員には電力会社10社をはじめ、卸電気事業者のJ-Power(電源開発)と日本原子力発電、さらに500社を超える新電力(特定規模電気事業者)も加入を義務づけられている。

 広域機関が4月1日に開始する業務は主なものが7つある(図1)。最初の重要な業務は各事業者が提出する供給計画のとりまとめだ。供給計画は電気事業者が今後10年間に販売する電力量の見通しを国に報告するもので、全国と地域別の需給計画を立てるうえで基礎データになる。

koukiki_start0_sj.jpg 図1 「電力広域的運営推進機関」の主な業務(第1段階)。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 従来は電力会社(一般電気事業者)と卸電気事業者の合計12社だけが供給計画を国に届け出る義務を負っていた。2015年度からは新電力も届出が必要になり、広域機関が各事業者の供給計画をとりまとめて国に報告することになっている(図2)。2016年度になると電力会社と卸電気事業者も広域機関を通じて提出する方法に変わり、すべての事業者の供給計画を広域機関が一括して集約する。

koukiki_start1_sj.jpg 図2 供給計画の提出方法。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 広域機関は電力会社に代わって送配電ネットワークの接続申込も2015年4月から受け付ける予定だ(図3)。ただし出力が1万kW以上の大規模な発電設備に限る。太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの発電設備に対しては、電力会社が接続を保留する事態が最近になって発生した。

koukiki_start2_sj.jpg 図3 送配電ネットワーク(系統)の接続申込。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 発電事業者にとっては電力会社の意向で接続を保留されてしまうことに不公平感がある。中立的な立場の広域機関が接続申込の業務を代行することで、電力会社に対して適正な処理を要求しやすい環境ができる。広域機関は全国各地に再生可能エネルギーを拡大する役割も担うことになる。

 このほかに全国の需給状況を調整するうえで必要な業務がいくつかある。地域間で電力を融通するための連系線の運用管理や、需給状況が悪化した時に事業者に対して改善指示を出す役割も重要だ(図4)。発電事業者には出力の増加、小売事業者には需要の抑制を指示する一方、送配電事業者には地域間の電力融通を要請することができる。

koukiki_start3_sj.jpg 図4 需給状況が悪化した時の指示。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 2016年4月に小売の全面自由化が始まると、電力会社と卸電気事業者も一般の発電事業者や小売事業者と同じ立場になって広域機関の業務に対応する必要がある。この時点で広域機関の業務内容は第2段階へ移行する。

第32回:「小売自由化で電力の契約方法が変わる、手続きはシステムで対応」

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