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» 2015年02月23日 09時00分 UPDATE

法制度・規制:国立・国定公園の太陽光発電に規制、環境省が建設条件を厳しく

環境省は国立公園などに建設する太陽光発電設備に対して規制を強化する。景観と生物の保全を目的に、建設できる場所を限定する方針だ。再生可能エネルギーの中では太陽光だけが環境影響評価の対象になっていないため、自然公園法の改正とガイドラインの制定で建設条件を厳しくする。

[石田雅也,スマートジャパン]

 環境省によると、国立公園の中に設置されている太陽光発電設備は2014年2月末の時点で26件にのぼり、そのうち6件が発電能力1MW(メガワット)を超えるメガソーラーである。さらに国定公園や都道府県立の自然公園を含めると、メガソーラーだけで29件に達している。

 国立公園などに太陽光発電設備を建設する場合には、自然公園法に定められた「工作物の新築」にあたり、国や県に申請して許可を受ける必要がある。ただし国立・国定公園内でも重要度の低い「普通地域」では届出が不要になっている。国立公園の中で普通地域の面積は28%を占める(図1)。

park2_sj.jpg 図1 国立・国定公園の土地所有区分と地種区分。出典:環境省

 法改正によって普通地域も規制の対象に加えて、大規模な太陽光発電設備の建設条件を厳しくする見通しだ。普通地域は国立・国定公園の中でも周辺地域と隣接する場所が多く、重要度の高い特別保護地区や特別地域(第1種〜第3種)と比べると景観や生物に対する影響は小さい(図2)。

park3_sj.jpg 図2 国立・国定公園の地種区分のイメージ。出典:環境省

 現行の自然公園法では工作物の新築のほか、木や土砂の採取、土地の形状変更にも許可や届出を義務づけている(図3)。太陽光発電設備を建設するために森林を伐採したり用地を造成したりすると規制の対象になる。

park4_sj.jpg 図3 自然公園法で規制されている行為。出典:環境省

 新たに制定するガイドラインでは、景観と生物に影響を及ぼさないように審査の基準を厳格に規定する。発電設備の色や形、架台の高さや角度も審査の対象に加える。運転を終了した発電設備の撤去についても義務化する方向だ。2015年度内に法改正と合わせてガイドラインを制定する。

 国内には国立・国定公園が87カ所あって、国土の面積の9.1%を占めている。都道府県立の自然公園を含めると14.4%になり、対象地域は広範囲に及ぶ(図4)。環境省が検討中の太陽光発電に対する規制は国立・国定公園が対象だが、都道府県立の自然公園にも波及する可能性は大きい。

park1_sj.jpg 図4 国立公園などの指定数と面積(2014年3月時点)。出典:環境省

 再生可能エネルギーのうち風力・水力・地熱・バイオマス(火力)の4種類に関しては、発電能力が一定の規模を超えると環境影響評価の対象になる。建設前に調査を実施して、国と自治体に報告したうえで認可を得る必要があり、通常は3年程度を要する。太陽光だけは環境負荷が小さいために対象外だが、一部の地域では規制に乗り出す動きも始まっている。

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