横浜市の団地で生きる超小型EV、20分まで無料電気自動車(1/2 ページ)

日産自動車は2015年3月、横浜市郊外の大規模住宅団地に向けて、小型の電気自動車を利用したカーシェアリングサービスを1年間試行導入する。都市再生機構東日本賃貸住宅本部(UR)と共同で実施し、フルタイムシステムがカーシェアリング事業者として協力する。日産ニューモビリティコンセプトを5台配置した。

» 2015年03月27日 12時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 日産自動車は2015年3月23日、横浜市郊外の大規模住宅団地に向けて、小型の電気自動車を利用したカーシェアリングサービスを試行導入した。同社が都市再生機構東日本賃貸住宅本部(UR)と共同で実施し、フルタイムシステムがカーシェアリング事業者として2016年3月31日まで進める。利用する車は「日産ニューモビリティコンセプト」(図1)。

 同車はリチウムイオン蓄電池を搭載した前後2人乗りの車*1)。航続距離は約100km、最高時速は80km。約4時間でフル充電が可能。車長は2340mm、車幅は1230mm、車高は1450mm。

*1) 道路運送車両法に適合しないため、現時点では販売の予定はない。試行導入では、国土交通省の道路運送車両法に基づく基準緩和を活用した超小型モビリティの認定制度の許可を取得して走行する。

図1 日産ニューモビリティコンセプト 出典:日産自動車

どのような地域で役立つのか

 サービスを試行導入する目的は、団地や周辺地域の活性化と、これまでにない乗り物として、超小型モビリティがどのように役立つかを調べることだ*2)

図2 横浜市旭区と左近山団地の位置

 検証内容は3つある。1つは最寄駅までのバス便を補完する新たな交通手段としての導入可能性を調べること。対象となる左近山団地(横浜市旭区左近山、図2)は、相鉄線二俣川駅からバスで13分、横須賀線東戸塚駅からバスで20分の位置にある。

 左近山団地は賃貸専用団地。100以上の建物からなり、総戸数2104という「街」だ。バス便以外の交通手段を導入する意味がある。団地から半径5km圏内の移動を想定しているという。

 第2に地域の活性化に資するさまざまな団体・個人の活動への活用可能性を調べる。NPO法人であるオールさこんやまの生活支援等ふれあい助け合い活動を助ける。同NPOは高齢居住者に対する見守りや、学童に対する交通安全・連れ去り防止を目的としたもの。

 第3に団地居住者の利便性の向上と入居希望者への訴求性を検証するとした。

*2) 左近山団地での実証は2013年5月から神奈川県、URと連携し、これまで3段階に分けて進めてきた。「郊外型大規模住宅団地の活性化に向けた超小型モビリティ試行導入」構想案として団地巡回管理車を試行導入(2013年6月〜2014年3月)、カーシェアリング検討のための居住者向け体験試乗会開催(2013年11月)、左近山団地での先行導入と活用可能性調査(2014年7月〜2015年3月)。2015年3月までに団地内の狭い通路走行の優位性と近距離移動の利便性などが認められたという。

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