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» 2015年04月08日 15時00分 UPDATE

自然エネルギー:人間よりも牛が多い豪雪地帯の町に、7つ目の水力発電所

北海道の真ん中にある人口6500人の新得町は酪農が盛んで、3万頭を超える牛を放牧している。冬には大量の雪が降り、川を流れる豊富な水量を利用する水力発電所が6カ所もある。これまで発電に使っていなかったダムからの放流を生かして、7番目の水力発電所が4月1日に動き始めた。

[石田雅也,スマートジャパン]
kuttari1_sj.jpg 図1 「くったり発電所」の位置と周辺にあるJ-Powerの水力発電所。出典:J-Power

 北海道の中央を流れる十勝川の流域に、新得町(しんとくちょう)がある。そばや酪農で有名な町だが、「電源の町」としても知られる。十勝川の水流を利用した水力発電所が町内に6カ所もあり、発電能力を合計すると13万kW(キロワット)に達する。

 新たに7番目の「くったり発電所」が4月1日に営業運転を開始して、さらに供給力が高まった(図1)。発電設備を設置した場所は、J-Power(電源開発)と北海道開発局が共同で運営する「屈足(くったり)ダム」の一角にある。

 屈足ダムは灌漑(かんがい)と発電を目的に造られたダムで、下流にはJ-Powerの「熊牛発電所」(1万5400kW)が1987年から稼働している。発電に使う水流とは別に、川の自然環境を保護するための「維持流量」がダムから常に流れ出ている。この維持流量を利用できる小水力発電設備を新設した(図2)。

kuttari4_sj.jpg 図2 発電所を建設する前(左)と後(右)の状態。出典:J-Power

 維持流量は最大で毎秒4.4立方メートルある。この水量を落差13.4メートルで流して470kWの電力を供給することができる。ただし冬には水量が半減して発電量が減る。年間の発電量は不明だが、小水力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)で標準の60%で計算すると247万kWh(キロワット時)になる。

 ダムの側面には維持流量を調節するためのバルブ室が以前からあって、その内部に水車発電機と周辺装置を設置した(図3)。発電所を運営するJ-Powerは2013年10月に工事を開始して、1年半かけて完成させた。J-Powerで60カ所目の水力発電所で、このうち11カ所が北海道にある。維持流量を利用した発電所は福島県の「奥只見(維持流量)発電所」(2800kW)に次いで2番目になる。

kuttari2_sj.jpg 図3 発電所の内部にある設備。出典:J-Power

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