ヒツジとヤギの除草効果、太陽光発電に生かす自然エネルギー

鳥取県の米子市で運転中のメガソーラーの一角で、ヒツジとヤギによる除草試験が始まる。発電設備に隣接する900平方メートルの草地を、7カ月間にわたって合計4頭で除草する試みだ。草刈り機や除草剤を使わない環境に優しい方法を現地の維持管理に生かしながら地域住民との交流も図る。

» 2015年04月17日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の全景。出典:SBエナジー

 2014年2月に運転を開始した「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」(図1)の敷地の中に、環境教育のための「とっとり自然環境館」がある。建物や駐車場の周辺に広がる900平方メートルの草地を使って、ヒツジとヤギによる除草試験を4月18日から開始する。

 最初の1カ月間は2頭のヒツジで除草効果を調べた後に、5月18日から11月30日までの約6カ月半を2頭のヤギで試験する予定だ(図2)。草が生え始める春から除草を開始して、雑草が繁茂する秋までを通して除草効果と除草品質を調べる。機械による除草と比べた安全面や、地域住民が動物と触れ合うことによるセラピー(癒やし)効果も検証する。

図2 除草試験を担当するヒツジとヤギ(イメージ画像)。出典:鳥取米子ソーラーパークほか

 除草試験に取り組むのは、メガソーラーの運営会社である鳥取米子ソーラーパークのほか、出資会社のSBエナジーと三井物産、地元で建設業を営む大協組である。4社は半年前の2014年10月から11月にかけて、同じ場所で除草試験を実施している。この時は2頭のメスのヤギの親子を45日間にわたって現地の柵の中で放牧した(図3)。

図3 前回のヤギによる除草試験の様子(奥に太陽光パネルが見える)。出典:鳥取米子ソーラーパークほか

 その結果、ヤギが食べる草の嗜好性を確認することができた。クローバーやヨモギなど葉の柔らかい草を好んで食べる一方で、葉の位置が高い草や太い茎の草は避ける傾向が見られた。さらにヤギが歩いて踏み倒した草は枯れるため、除草と同様の効果があった(図4)。

図4 前回の除草試験の開始直後(左)と終了時(右)の状況。出典:鳥取米子ソーラーパークほか

 新たに取り組む第2回の試験では、ヒツジによる除草効果を調べるほか、ヤギを6カ月以上の長期間に放牧した場合の結果を前回と比べて検証する。第1回の試験では対象面積の900平方メートルのうち約400平方メートルを除草することができた。試験期間中は自然環境館の入館者数も通常の2倍に増えて、1カ月間に約1600人が現地を訪れた。除草効果に加えて集客効果も大きかった。

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