西武鉄道は埼玉県飯能市に出力2.1MWのメガソーラーを立ち上げる。ヤギを除草に役立てることが特徴だ。停電時に地域社会を助ける仕組みも盛り込んだ。
メガソーラーを立ち上げる場合、敷地の除草コストを完成後の保守・管理(O&M)費用として収支計算に入れておく必要がある。
除草コストは地域や交通の便、草の丈によって大幅に異なる。草が生い茂った遊休地の除草コストは1m2当たり、20円〜150円の範囲に収まるようだ。出力1MWのメガソーラーに必要な土地は1万5000m2〜2万m2。最も面積が狭く、最も安い料金を適用したとしても、単純計算で1回当たり30万円を見込む必要がある。
スマートジャパンでは「ヒツジ」を利用した除草の例を紹介したことがある(関連記事)。西武鉄道は「ヤギ」を使う。同社は、ヤギをエコパートナーと呼んでいる。1匹当たり1カ月で約100m2の草を食べるからだ。
埼玉県飯能市に建設する「西武飯能日高ソーラーパワーステーション」(出力2.1MW、図1)は、自社所有の西武飯能日高分譲地内の土地、約3万9000m2に設置する。
同社は、建設予定地から約2km離れた西武鉄道池袋線の武蔵横手駅わきに「そらとみどりの家」と呼ぶ、小規模なヒツジの飼育施設を2009年から設けている。約5000m2の線路脇の社用地を除草するためだ。この飼育施設から1歳半のメスの子ヤギ「はな」をメガソーラーに運び、除草に役立てるという(図2)。図2のうち、右下を除くヤギがはなだ。
同社はメガソーラーの着工を2013年12月に予定し、2014年8月に運転を開始する計画だ(図3)。8588枚の太陽電池モジュールを設置し、一部を自立運転機能付きのパワーコンディショナーと接続する。停電時にも電力を取り出せるようにするためだ。この他、災害時に分譲地内の緊急避難施設となる自治会館にも小規模な太陽電池モジュールを設置し、可搬式の蓄電池も備える。
想定年間発電量は約240万kWh、全量を固定価格買取制度(FIT)によって売電し、年間の売電収入約9600万円を得る見込み。同社によれば、このメガソーラーによって削減できる二酸化炭素(CO2)の量は年間755トンであり、これは杉5万4000本を植林したことに相当するという。
西武グループは2013年4月に、電力需要への対応と、社会貢献のために太陽光発電事業に参入している。西武鉄道は埼玉県日高市にある車両検修場の屋根を出力1.2MWのメガソーラーに変える工事に着工済みだ。プリンスホテルは3カ所、近江鉄道は1カ所に着工している。従って、西武飯能日高ソーラーパワーステーションは、西武グループにとって6カ所目のメガソーラーということになる。「2015年度までにグループとして全国で10カ所程度のメガソーラーに着手する計画だ」(西武鉄道)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.