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» 2015年04月17日 13時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:超電導で回転する4トンの蓄電池、メガソーラーで電力の安定供給に

走行試験中の「リニア中央新幹線」にも使われている「超電導磁石」の原理を応用して、大型の蓄電システムを開発した。直径2メートルで重さが4トンもある円筒形のフライホイールを超電導状態で浮かせて回転させる。夏には山梨県のメガソーラーに設置して実証試験を開始する予定だ。

[石田雅也,スマートジャパン]
furukawa1_sj.jpg 図1 「超電導フライホイール蓄電システム」の実証機。出典:鉄道総合技術研究所ほか

 日本が誇る鉄道の最先端技術を使って、再生可能エネルギーの課題に取り組むプロジェクトが進んでいる。JRグループの鉄道総合技術研究所(略称:鉄道総研)が中心になって開発した「超電導フライホイール蓄電システム」である(図1)。

 フライホイール蓄電システムは電力を使って円盤型のフライホイールを回転させることにより、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して貯蔵(充電)する仕組みだ。回転軸には発電電動機が付いていて、運動エネルギーを電力に変換(放電)することができる。

 新たに開発した超電導フライホイール蓄電システムは、フライホイールを毎分6000回転させて、最大300kW(キロワット)の電力を充電・放電することが可能だ。蓄電容量は100kWh(キロワット時)で、一般家庭の使用量(1日あたり10kWh)に換算して10日分に相当する。世界でも最大級のフライホイール蓄電システムである。

 システムの中核部分はフライホイールと軸受で構成する(図2)。フライホイールは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の円盤9枚を重ねて作った。1枚の円盤は直径が2メートルで、厚さが10センチメートルある。全体の重さは4トンに達する。フライホイールの直径が大きくて重いほど、運動エネルギーを大きくできるため、大容量の電力を貯蔵することが可能になる。

furukawa6_sj.jpg 図2 フライホイール(左)と超電導磁気軸受(右)。出典:鉄道総合技術研究所ほか

 この巨大なフライホイールを超電導磁石の原理で浮かせて回転させる点が特徴だ。軸受を超電導磁石で作り、マイナス223度まで冷却して強力な磁場を発生させる。磁石の反発力を使ってフライホイールを浮かせたまま回転できるため、運動エネルギーをほとんど失わずに長時間にわたって保つことができる。

 2027年に東京−名古屋間で開業予定の「リニア中央新幹線」も、同様の超電導磁石で車体を浮かせて高速で走行する。現在は山梨県の実験線で走行試験を続けているが、超電導フライホイール蓄電システムも同じ山梨県で実証試験を開始する計画だ。山梨県の企業局が東京電力と共同で運営する甲府市の「米倉山(こめくらやま)太陽光発電所」(出力1万kW)が実証試験の場所になる(図3)。

furukawa5_sj.jpg 図3 メガソーラーと組み合わせた系統接続の実証イメージ。出典:鉄道総合技術研究所ほか

 太陽光で発電した電力は「系統連系装置」を介して、東京電力の送配電ネットワークに供給する。この系統連系装置にフライホイール蓄電システムを接続して使う。天候によって変動する太陽光発電の出力を蓄電システムで吸収して安定化させる目的だ。蓄電システムはメガソーラーの最大出力の3%に相当する電力を充電・放電することができる。実証試験は太陽光発電の出力が大きくなる夏をめどに開始する。

 実証機の開発プロジェクトには鉄道総研に加えて、各分野の専門メーカーが参画した(図4)。フライホイールは高精度の加工技術をもつクボテックが独自の方法で炭素繊維を織り込んで製作した。軸受は鉄道総研と古河電気工業の共同開発で、超電導素材として使われることが多いイットリウム(元素記号:Y)の化合物を採用している。

furukawa4_sj.jpg 図4 実証機の構造と仕様。出典:鉄道総合技術研究所ほか

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