NTTがデータセンター空調事業を強化、世界シェア2位のドイツ企業と事業提携エネルギー管理

NTTファシリティーズがデータセンター向け空調事業で世界シェア2位のドイツ企業であるSTULZと、日本国内における水冷空調機の独占販売代理店契約を締結した。データセンター向け事業を強化して、水冷空調の国内シェア30%と関連事業の累計売上高100億円を目指す。

» 2015年05月14日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 NTTファシリティーズはデータセンター向け空調事業の強化に向け、このほどドイツの大手精密空調メーカーSTULZと事業提携を開始する。STULZのデータセンター用空調シリーズ「Cyber Air」のうち、水冷空調機の日本国内における独占販売代理店契約を締結した。主に首都圏、関西圏の大・中規模データセンターを対象に販売および保守サービスの提供を行う。

図1 STULZのデータセンター用水冷空調機「CyberAir 3(CWUタイプ)」出典:NTTファシリティーズ

 データセンターの冷却を行う空調システムの消費電力は、データセンター全体の4割強を占めており、その省エネ化が求められている。大規模データセンターでは、サーバルームでの設置スペースの制約が少ない水冷空調機が採用される傾向が高まっているという。

 NTTファシリティーズはこうしたニーズに対応するため、同社のデータセンター向け空調機器のラインアップに同製品分野でシェア世界第2位のSTULZの製品を追加。データセンターの消費電力削減とサーバの高発熱密度への対応を行う。今後は豊富な空冷、水冷空調機器と空調制御システムとのセット販売で、国内データセンター事業の売り上げ拡大を図る。

 STULZの空調機器は独自のガラス繊維強化複合材料を用いた軽量な高性能ECファンの採用と、ファンユニットを床下に設置し風路を改善することにより、従来のデータセンター用水冷空調機の送風動力と比較して最大約48%の動力低減を実現するという。

 通常は空調筐体内に置く熱交換ユニットを床下に配置しており、不要となった機内のファンスペースに大きな冷水コイルを移動させている。これにより省スペース化と冷房能力の増加を実現した。同一の冷却能力で従来機と比較した場合、設置スペースを約14%削減するという。

図2 STULZの空調機器は熱交換ユニットを床下に配置しており、設置スペースを約14%削減している 出典:NTTファシリティーズ

 さらに空調制御の自立コントロール機能により、従来機で必要となる制御システム・機器の構築を大幅に簡略化して、空調システム全体の構築コストを引き下げている。同空調機器とNTTファシリティーズが提供しているデータセンター用空調制御システムとの組み合わせにより、運転制御を効率化することで空調システム全体の消費電力量を最大45%程度削減することも可能だ。製品価格もSTULZのハンブルグ工場から直接調達することなどで抑えている。

 NTTファシリティーズは日本におけるSTULZの現地パートナーとして、保守サービスも提供する。通信設備の保守で培った実績・ノウハウを持つ同社の保守拠点を活用し、定期点検・故障駆け付け・修理などに対応する。NTTファシリティーズでは今回の事業提携により、データセンター向け水冷空調の国内シェア30%と、関連事業の累計売上高100億円を目指すとしている。

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