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» 2015年06月10日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:森林率87%の市に木質100%のバイオマス発電所、3万世帯分の電力源に

富士山の北東30キロメートルにある山梨県の大月市で大規模なバイオマス発電所の建設計画が動き出す。年間に15万トンの木材を燃料に利用して、一般家庭で3万世帯分の電力を供給する計画だ。2017年度に運転を開始する予定で、年間の売電収入は20億円を見込んでいる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 バイオマス発電所の建設予定地は古くから「笹子峠(ささごとうげ)」で有名な大月市の笹子町にある(図1)。現在は峠の下にトンネルが通って電車や自動車が行き交うが、江戸時代には街道の難所とされた険しい山道だった。大月市では今も森林が87%を占めていて、近年は林業の活性化が大きな課題になっている。

otsuki_biomas2_sj.jpg 図1 「大月バイオマス発電所」の建設予定地。出典:大月市、大林組

 2010年にバイオマス発電の事業会社「大月バイオマス発電」が市内に立ちあがり、地元の調整や環境影響評価の手続きを進めてきた。新たに事業開始に向けて大林組が全面的に参画して、約100億円の投資額で発電所を建設することが決まった(図2)。

otsuki_biomas1_sj.jpg 図2 バイオマス発電所の完成イメージ。出典:大月市、大林組

 発電能力は14MW(メガワット)で、年間の発電量は1億kWh(キロワット時)を超える見通しだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3万世帯分に相当する。大月市の総世帯数(約1万世帯)の3倍に達する電力源になる。8月に着工して、運転開始は2年後の2017年度を予定している。

 燃料には木質バイオマスを100%利用する計画で、年間15万トンにのぼる。このうち2割を地域の森林から発生する間伐材などで調達する方針だ。残る8割は他の地域から街路樹などの剪定枝(せんていし)を購入する。大月市と大林組は地域の林業を活性化するために、間伐材など地元の森林資源の利用率を可能な限り高めていく。

 発電した電力は固定価格買取制度で売電して、年間に約20億円の収入を見込んでいる。間伐材などで発電した電力の買取価格は1kWhあたり32円(税抜き)だが、剪定枝は一般廃棄物に含まれるため17円になる(図3)。地域の間伐材を増やすことができれば売電収入が増えるだけではなく、地元の林業が間伐材を販売することで得られる収入も増える。

otsuki_biomas_enecho_sj.jpg 図3 固定価格買取制度によるバイオマス発電の買取(調達)価格。出典:資源エネルギー庁

 大月バイオマス発電所は山梨県内で初めて固定価格買取制度の認定を受けた木質バイオマス発電所になる。これまで山梨県の再生可能エネルギーは太陽光発電が圧倒的に多く、最近は小水力発電も増え始めている。新たにバイオマス発電が加わることで、県が推進するエネルギーの地産地消がいっそう進む。

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