第3世代の火力発電を2025年に、燃料電池を組み込んでCO2削減へ蓄電・発電機器(1/3 ページ)

日本が世界をリードする火力発電の技術開発ロードマップがまとまった。LNG火力と石炭火力それぞれで第1〜第3世代の発電技術を開発する。第3世代では燃料電池を組み込んだトリプルコンバインドサイクル発電を実用化して、CO2の排出量を第1世代と比べて2〜3割削減する計画だ。

» 2015年07月08日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 政府は次世代の火力発電に関する技術開発ロードマップの素案を7月6日に公表した。日本のエネルギーの中核を担う火力発電を高効率な方式に進化させて、CO2排出量と燃料費を同時に抑制する狙いだ。官民一体で開発方針と目標時期を共有しながら、世界に先行して次世代の火力発電技術を確立していく。

 ロードマップでは火力発電の多段階化の流れに沿って、主流になる発電技術を第1〜第3世代に分けて絞り込んだ(図1)。第3世代では燃料電池+ガスタービン+蒸気タービンの組み合わせによる「トリプルコンバインドサイクル方式」で発電効率を高める。

図1 火力発電の高効率化の流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 LNG(液化天然ガス)火力と石炭火力の双方で、2025年をめどにトリプルコンバインドサイクル方式の発電技術を確立することが新たな目標になった。並行してCO2を分離・回収するコストの低減にも取り組み、環境負荷の低い火力発電へ転換を図る。

第1世代は2016〜17年にも実用化

 ロードマップに盛り込んだ火力発電のうち、既存の方式をベースにした第1世代では燃焼技術を進化させて発電効率を引き上げる。LNG火力では高湿・高温の空気を燃焼させる「高湿分空気利用ガスタービン(A-HAT:Advanced-Humid Air Turbine)」を主力に据える一方、石炭火力では高温・高圧の蒸気でタービンを回す「先進超々臨界圧(A-USC:Advanced-USC)」に注力する方針だ(図2)。

図2 次世代の火力発電の技術開発ロードマップ(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 A-HATは2017年に要素技術を確立して、従来のLNG火力と同等のコストで建設できるようにする。石炭火力のA-USCは発電効率を高めてCO2の排出量を低減しながら、従来と同様の低い発電コストを2016年に達成することが目標である。発電効率はA-HATが51%程度、A-USCが46%程度になって、旧来型の火力発電の40%以下から大幅に向上する。

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