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» 2015年07月09日 13時00分 UPDATE

再生可能エネルギーの普及を阻む壁(3):2030年度の買取費用は4兆円に、発電コストが下がれば導入量を増やせる (1/2)

再生可能エネルギーの導入量が拡大すると、固定価格買取制度の買取費用も増えていく。政府の試算では2030年度に4兆円にのぼる買取費用を国民全体で負担しなくてはならない。日本の発電コストは海外と比べて2倍の水準で、太陽光を中心にコストを下げることが買取費用の低減につながる。

[石田雅也,スマートジャパン]

第2回:「太陽光発電の運転開始率は2割強、未着手の案件が過剰なルールを誘導」

 政府が2030年のエネルギーミックス(電源構成)の目標値を決めるにあたって、再生可能エネルギーを2種類に分けた。1つは天候の影響を受けない水力・地熱・バイオマスで、2030年に向けて可能な限り導入量を増やして原子力を代替する。もう1つは天候の影響を受ける太陽光と風力を火力発電と組み合わせて、コストの増加を抑えながら導入量を拡大していく考え方だ。

 その結果、太陽光と風力を最大限に増やすことは難しくなり、再生可能エネルギー全体の比率は2030年でも22〜24%にとどまる。一方で原子力を20〜22%まで回復させることが政府の方針になった。

 再生可能エネルギーの導入量が拡大することによって、国民が負担する買取費用は2030年度に3.7〜4兆円に達する見通しだ(図1)。これ以上に増えてしまうと、国全体の電力コストを将来に向けて削減できなくなる。

kabe3_1_sj.jpg 図1 2030年度までの電力コストの削減目標。出典:資源エネルギー庁

 国民が電力コストの削減と原子力の削減のどちらを望むかは別にして、ますます増えていく買取費用を抑える対策は欠かせない。2030年度に4兆円にもなる買取費用の内訳を見ると、5割以上を太陽光が占めている(図2)。太陽光発電にかかるコストを想定よりも低減できれば、買取費用は少なくて済み、導入量を増やすことも可能になる。

kabe3_2_sj.jpg 図2 2030年度の再生可能エネルギーによる発電電力量と固定価格買取制度(FIT)による買取費用の見通し。出典:資源エネルギー庁

 実際にコストを削減できる余地は大いにある。政府は2030年度の買取費用を算出するにあたって買取価格を高めに見込んだ。中でも買取費用の多くを占める出力10kW(キロワット)以上の太陽光は2015年度の27円に対して、2030年度に22円までしか下がらない想定だ(図3)。そのほかの風力・水力・地熱・バイオマスは2015年度と2030年度の買取価格を同額に据え置いた。

kabe3_7_sj.jpg 図3 買取価格の想定(太陽光のほかは2030年度も2015年度と同額)。出典:資源エネルギー庁

 しかし政府の委員会が2030年の発電コストを試算した結果では、太陽光は2分の1程度まで下がる見通しだ(図4)。買取価格は発電コストに連動するため、2030年度までに想定よりも低い金額になっている可能性が大きい。風力なども導入量の拡大に伴ってコストの低下が期待できる。

kabe3_6_sj.jpg 図4 2030年の電源別の発電コスト(画像をクリックすると詳細情報を表示)。出典:資源エネルギー庁
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