香川県が初めて県有施設の電力契約で一般競争入札を実施した。合計34カ所の施設のうち32カ所を新電力が落札して、残る2カ所だけは四国電力と中国電力が継続する。3年間の契約金額は合計で10億5100万円になり、従来と比べて1年あたり2200万円の削減効果を見込む。
一般競争入札の対象になったのは県立学校が17カ所のほか、電力の使用量が多い県立中央病院や、離島にある廃棄物処理施設を含む34カ所である。このうち県立学校など業務用の電力を契約する29カ所を新電力の日本ロジテック協同組合が落札する一方、産業用の電力を使う3カ所は新電力で最大手のエネットが落札した(図1)。
残る2カ所は県立中央病院と廃棄物処理施設で、それぞれ四国電力と中国電力が落札して契約を継続する。2カ所ともに入札に参加したのは1社だけだった。中央病院は契約電力が2800kW(キロワット)と大きく、使用量は年間1185万kWh(キロワット時)にのぼる。新電力では供給量の確保が難しかった可能性がある。一方の廃棄物処理施設は瀬戸内海の豊島(てしま)にあり、新電力の参入が難しい立地条件だ。
新しい契約による電力の供給期間は2015年10月1日から3年間に及び、契約金額は34カ所の合計で10億5100万円になる。これまでの四国電力と中国電力から調達していた条件と比べて年間に2200万円の削減効果を見込める。契約金額の約半分を占める中央病院の場合には、新契約による単価が1kWhあたり10円強になるとみられる。四国電力の業務用の特別高圧(契約電力2000kW以上)の標準単価よりも1〜2割低い水準だ。
香川県は競争入札を実施するにあたって、事業者の環境評価を条件に加えた。事業者が調達する電力の二酸化炭素(CO2)排出係数のほか、廃熱などの未利用エネルギーや太陽光などの再生可能エネルギーの導入比率をもとに採点する(図2)。合計で70点以上を獲得できる事業者にだけ競争入札の参加資格を与える。
これは環境省が推進する「グリーン(環境配慮)契約」に基づく入札方法で、全国の多くの自治体が採用し始めている。沖縄を除く全国9地域ごとに配点が決まっていて、中国電力と四国電力の管内ではCO2排出係数を含めて同じ条件になっている(図3)。
評価の対象になる2013年度(平成25年度)のCO2排出係数(調整後)を見ると、中国電力は0.717トン/kWh、四国電力は0.706トン/kWhである(図4)。両社ともに70点満点のうち40点しかとれない。そのほかの未利用エネルギー・再生可能エネルギーの導入比率、グリーン電力証書の購入や省エネ・節電に関する情報提供による加点で、70点以上に達したことになる。
一方の新電力のCO2排出係数はエネットが0.443トン/kWh、日本ロジテック協同組合が0.290トン/kWhと低く、この項目だけで70点をとれる状態にある。CO2排出係数のうち調整後の数値には、固定価格買取制度で買い取った電力量を反映している。今後は料金の安さだけではなくてCO2排出量の少ない電力を調達する事業者が競争優位になっていく。
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