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» 2015年08月03日 15時00分 UPDATE

スマートシティ:「エネルギー回生」を利用した世界初の制振装置、震度7の大地震にも対応

鹿島は世界で初めて自動車のブレーキなどに利用されているエネルギー回生システムを利用した建物用の制震オイルダンパーを開発。風揺れから震度7の大地震までカバーし、特に頻度の高い震度4〜5クラスの地震や長周期地震に高い効果を発揮するとしている。

[長町基,スマートジャパン]

 鹿島は建物用制震ダンパーでは世界初(同社)となる振動エネルギー回生システム「VERS(Vibration Energy Recovery System)」を搭載した新世代制震オイルダンパー「HiDAX-R(Revolution)」(図1)を開発した。自動車のブレーキ制御などで用いられるエネルギー回生システムの原理を初めて建物に応用。地震による建物の振動エネルギーを一時的に補助タンクに蓄え、それをダンパーの制震効率(振動エネルギー吸収効率)を高めるアシスト力として利用することにより、従来型装置を上回る世界最高の制震効率を実現した。

rk_150731_kashima01.jpg 図1 「HiDAX-R(Revolution)」の外観 出典:鹿島建設

 風揺れから震度7の大地震までカバーし、特に頻度の高い震度4〜5クラスの地震や長周期地震に高い効果を発揮するとしている。一般的な制震構造と比較して揺れ幅を半減する他、揺れが収まるまでの時間を大きく短縮することができるという。

 2011年の東日本大震災で首都圏の超高層ビルが長時間揺れ続けたことを契機に、建物の耐震安全性の確保だけでなく居住者の不安感軽減も重要課題として広く認識されてきた。しかし、既存の超高層ビルの長周期振動対策などの制震補強では、ダンパーを設置できる場所が制限されることも多く、少ないダンパーの台数で効果を発揮する高効率な制震装置が求められているという。

 鹿島は1985年から制震構造の研究開発を開始し、1989年に世界初の制震ビルを完成。1995年に本格的な建物用オイルダンパーを開発し、2000年にはオイルダンパーに組み込んだ制御弁を独自の制御則で開閉制御することで、制震効率を約2倍に高めたHiDAXを完成させている。そして今回、近年のニーズに対応するためVERSを搭載したHiDAX-Rを開発した。制震効率は従来型HiDAXと比較して約2倍。これは一般のオイルダンパーの4倍になるという。

 ダンパー1台あたりの電力は約70W(ワット)で、簡単な無停電電源装置により大地震時の動作も容易だ。万一の停電や電気系統の異常時には自動的にHiDAXに切り替わるフェイルセーフ機能も内蔵している。またダンパー監視機能も併せ持つコントローラーはダンパー本体と離れた位置に設置でき、遠隔・簡便な場所での点検も可能だ(図2)。

rk_150731_kashima02.jpg 図2 「HiDAX-R(Revolution)」の内部機構の概要 出典:鹿島建設

 同製品は現在施工中の「新日比谷プロジェクト(仮称)」をはじめとして、合計3件の超高層ビルへの適用が決定している。同社ではHiDAX-Rを制震システムのラインアップにおける最上位機種と位置付け、今後も超高層ビルを中心に積極的に導入を進めていく方針だ。

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