震災からの復興に向けて再生可能エネルギーによる電力の地産地消を推進する岩手県の宮古市で、メガソーラーの建設工事が2カ所で同時に始まった。2016年12月に運転を開始する予定で、800世帯分の電力を供給する。合わせて地域全体のエネルギー管理システムを稼働させる計画だ。
宮古市の太平洋沿岸部は本州で最も東に位置して、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域である(図1)。地震の発生直後から大規模な停電が発生して、市役所の電力が復旧するまでに14日もかかった。復興に向けて2012年に「宮古スマートコミュニティ導入推進事業」に着手して以降、災害に強いエネルギー供給体制の構築を官民連携で進めている。
スマートコミュニティで目指すのは、再生可能エネルギーによる電力の地産地消だ。特に地域の資源を生かした太陽光発電とバイオマス発電が中核の電源になる。太陽光発電では2015年1月10日に市内の2カ所でメガソーラーの建設工事が始まった。被害の大きかった沿岸部の「津軽石(つがるいし)」と「田老(たろう)」の2つの地区である(図2)。
2カ所を合わせた発電能力は4MW(メガワット)で、いずれも2016年12月に運転を開始する予定だ。年間の発電量は一般家庭で約800世帯分の使用量になり、宮古市の総世帯数(約2万4000世帯)の3%強をカバーすることができる。日本国土開発などが設立した特別目的会社の「宮古発電」がスマートコミュニティプロジェクトの一環でメガソーラー事業を運営する。
このメガソーラーの運転開始に合わせて、エネルギーの地産地消を実現するためのCEMS(地域エネルギー管理システム)も稼働させる計画だ(図3)。新電力と連携して再生可能エネルギーによる電力を地域内で供給する。同時に蓄電設備や給電設備を導入して、電力需要のピーク時や停電時に備える。
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