岩手県の太平洋沿岸で最北端にある洋野町に、発電能力10MWのメガソーラーが運転を開始した。海に近くて使い道のなかった2カ所の土地に太陽光パネルを設置した。年間の発電量は一般家庭で3300世帯分にのぼり、町の総世帯数の半分に相当する。町と地元の金融機関が融資に加わった。
岩手県の洋野町(ひろのちょう)の沿岸部で、「洋野角浜(ひろのかどのはま)太陽光発電所」が10月から稼働している。近隣の2カ所の土地を合わせて19万平方メートルの用地に、10MW(メガワット)の太陽光発電設備を建設した(図1)。
年間の発電量は1180万kWhを見込んでいて、一般家庭で3300世帯分に相当する。洋野町の総世帯数は約6800世帯で、町の電力需要のほぼ半分を満たす規模になる。固定価格買取制度の2012年度の買取価格(1kWhあたり40円、税抜き)を適用すると、年間の売電収入は約4億7000万円になる。
この発電事業は地元企業3社のほかに日本紙パルプ商事と東光電気工事が出資して運営する。総投資額は約43億円で、岩手銀行など複数の金融機関が協調融資を実施した。協調融資の枠組みには洋野町が貸出人になる「ふるさと融資」も含まれている。
洋野町は東日本大震災からの復興計画を進めていて、その一環で地域分散型のエネルギー源の導入を推進中だ。発電所を建設した場所は沿岸部にある海岸線や道路、森林などに囲まれた不規則な土地で、長年にわたり遊休地になっていた(図2)。災害に強いエネルギー供給体制の整備と合わせて地域の振興にも生かす。
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